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「東北『夢』応援プログラム」で指導した子供たちと交流

3年ぶりに行動制限のないGWを迎え、街に活気が戻ってきた宮城県気仙沼市。2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた街は、今も復興の道を歩み続けている。

「東北『夢』応援プログラム」の成果発表イベントに参加した渡邉拓馬氏【写真:中戸川知世】
「東北『夢』応援プログラム」の成果発表イベントに参加した渡邉拓馬氏【写真:中戸川知世】

人生で「他人の評価」より大事なこと バスケ渡邉拓馬さん、気仙沼の子供に贈る言葉

 3年ぶりに行動制限のないGWを迎え、街に活気が戻ってきた宮城県気仙沼市。2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた街は、今も復興の道を歩み続けている。

 季節外れの寒さが体に沁みた4月30日。未来へ進む街にハツラツとした子供たちの声が響きわたった。この日、三陸の海に面した唐桑地区にある小原木公民館では「東北『夢』応援プログラム」の成果発表イベントが開催された。参加したのは、気仙沼ミニバスケットボール少年団で活動する小学2年生から中学1年生の男女26人。このうち12人がプログラム受講生だ。

 かつて小原木中学校の体育館だった会場では、朝早くから子供たちがソワソワしている。ある人物との再会を心待ちにしているのだ。その人とは、バスケットボール元日本代表・渡邉拓馬氏だ。身長188センチの渡邉氏がマスク越しに笑顔を浮かべながら姿を現すと、子供たちは喜びに目を輝かせた。

 現在Bリーグ・京都ハンナリーズでゼネラルマネージャーを務める渡邉氏は昨年10月に「夢応援マイスター」として気仙沼を訪問。「夢宣言イベント」に参加して以来、プログラムに参加する19人の子供たちと遠隔指導ツールを通じて交流を続けてきた。

「東北『夢』応援プログラム」とは、公益財団法人東日本大震災復興支援財団が立ち上げた、年間を通して子供たちの夢や目標を応援するプログラムだ。「夢応援マイスター」を務めるアスリートや元アスリートが、参加する子供たちがそれぞれに掲げる半年後、あるいは1年後の目標に向かって、遠隔指導ツールでサポート。1日限りのイベントで交流を終えるのではなく、離れた場所でも動画やSNSを通じて継続したプライベートレッスンが受けられるという画期的な試みだ。

クリニックの締めくくりに、4対4のゲーム形式によるメニューに取り組んだ子供たち【写真:中戸川知世】
クリニックの締めくくりに、4対4のゲーム形式によるメニューに取り組んだ子供たち【写真:中戸川知世】

咄嗟の状況判断や思考の切り替えを意識する練習メニューを実施

 この日はまず、全員参加のクリニックからスタート。4人一組で行うパスのドリルに取り組んだが、憧れの人との再会に緊張したのか、子供たちの動きはどことなくぎこちない。その微妙な雰囲気を察知した渡邉氏は「動きが硬かったので、少しリラックスしてもらおうと思いました」と、ここで“たけのこニョッキ”のアレンジゲームを行うことに。

 6~7人が一組となり、1から20までの数字を1人ずつ順番にコールするゲームだが、同時に2人以上がコールしたら1から数え直さなければならない。「20」まで数えきる直前にコールが重なってしまったり、タイミングを探るように互いの顔を見合わせたり、次第に子供たちから大きな笑い声が響くようになった。

 緊張がほぐれたら、再びバスケットボールを使ったメニューを開始。ボールをドリブルしながら2人一組で鬼ごっこをしたり、攻撃と防御に分かれたメニューも行った。攻撃と防御に分かれた練習では、特に攻撃側の思考の切り替えと先を読む力を重視。味方にボールをパスしたことで満足せずに、すぐに次の行動に移る意識付けをするメニューを行った。

 クリニックの締めくくりは、4対4のゲーム形式によるメニューだ。ルールは通常のゲームとほぼ同じだが、最大の違いはどちらのゴールに入れても得点になること。例えば、相手チームが外したシュートをリバウンドして、同じゴールにシュートを入れれば得点と認められる。

 あるいは、ゴール下でディフェンスに邪魔され、シュートが打ちづらい時、反対のゴール下に走り込んだ味方にパスしてシュートを決めても得点になる。その時の状況を判断し、シュートを決めやすいゴールを選べばいい。

子供たちにアドバイスを送った渡邉氏【写真:中戸川知世】
子供たちにアドバイスを送った渡邉氏【写真:中戸川知世】

修了証には1人1人にあてた手書きのメッセージ

 変則ゲームで盛り上がる子供たちを、渡邉氏はコート脇から真剣な眼差しで見つめた。プログラムの集大成として、しっかりスタンスを取れているか、視線をしっかり上げているか、左右差がなくプレーできているか、リズム良くできているか、試合をイメージできているか、の5項目についてプログラムに参加する子供たちを1人1人評価。子供たちに手渡す修了証にはそれぞれ、渡邉氏が直筆でメッセージを書き込んだ。

 ゲームを終えた子供たちは、持参した夢達成ノートを記入。修了証授与式では、半年前に宣言した約束、うまくできるようになったこと、まだうまくできないこと、半年間の感想、自己評価の点数を発表した。

 5点満点の自己評価では、2点という辛口評価もあったが、半数以上は4点をつけ、自分でも満足のいく半年を過ごせた様子。「渡邉さんと一緒にバスケができて楽しかったです」「ディフェンスが上手くなったと言われるようにあったので継続したいです」「少しサボってしまうこともあったけど、まあまあ成長できたと思います」など、それぞれに感じることがあったようだ。

 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。渡邉氏は最後に、人生の先輩として貴重なアドバイスを送った。

「他人からの評価も大事ですが、一番重要なのは自分がどうなりたいか。その想いが大切です。なりたい自分を表現する方法の1つがバスケットボールであるとうれしいと思います。自分の夢に向かって頑張ってください。そして、やりたいことが見つかったら、どんな犠牲を払ってもやり抜いてみましょう。また機会があったら、一緒にバスケットボールをしましょう」

 半年という短い期間ではあったが、渡邉氏と交流した経験は子供たちにとって一緒の宝物となるはず。気仙沼の街とともに、子供たちはそれぞれに想いを抱きながら、明るい未来へと歩み続ける。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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