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“NPB経ずMLB行き”を考える 待遇は改善、淘汰は過酷…米マイナーの実態 1プレーで烙印「誰も言ってくれない」

ドラフト11巡目から3年で今年メジャー昇格したホワイトソックスの西田陸浮【写真:ロイター】
ドラフト11巡目から3年で今年メジャー昇格したホワイトソックスの西田陸浮【写真:ロイター】

ドラフト11巡目→3年でメジャー昇格した西田の証言

 マイナーリーガーが労働する環境は改善された。しかし、競争の厳しさまで緩くなったわけではないようだ。2023年に米国のオレゴン大学からホワイトソックスに11巡目(全体329位)で指名され、今年、メジャー昇格を果たした西田にこんな話を聞いた。7月、ホワイトソックス傘下の3Aのシャーロットでの取材である。

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「マイナーは大変ってみんな言うんですけど、ご飯とか大変でしょって言うんですけど、僕はご飯とかは別に大丈夫です。でも、やっぱり考えることが多くなると思います。自分で決められないことが多い。そこでプレーしろっていわれたらそこでプレーするしかない。そこは賢くないとできない。自分に集中してできない。他の人を気にしていたらダメです。(マイナーは)段階がめちゃめちゃある。めちゃめちゃあるということは、たまたまじゃあ絶対ダメなんで」

 自身がそれなりの結果を出していても、チーム方針の影響を大きく受けて、昇格できない日々が続く。チームメートが昇格しても、自分がなかなか昇格できない焦りもあれば、仲の良いチームメートがリリースされて去っていくというつらさも日常的に味わう。こういうことに一喜一憂していると、自らのプレーに集中できなくなってくるということだろう。

 さまざまなパフォーマンスの評価を受け、計画を提示され、どうしたらよいのかという指導を受ける。しかし、叱られるのではなく、静かに見放していくという大人の競争の世界でもある。これは、日本での高校野球経験はアメリカでも生きているかという質問をしたときの西田の答えだ。「本当に1試合(一塁まで)走らんかっただけでも走らんかった認定されるんで。走らんやつ認定。でも、誰も(それを)言ってくれないんですよ。もうこいつはそういう場面で走らんやつっていうの(烙印)を押されるんで。そこに気づかないまま、なんで俺は上がられへんねんって思ってる人が多いです」。

 西田は日本の高校卒業後、アメリカの大学へ渡り、ドラフト指名を受けた。下位での指名にもかかわらず3年でメジャー昇格というスピード出世の大成功例である。その西田からこんな言葉が出てきた。「本当にそのレベル、レベルでその一番になれるかどうかなんで。シンプルです、本当に」。そのレベルの、そのポジションで最も優れた選手になれるか。どのルートを通っても、それがメジャーへの階段を上がるのに必要なことだと言えるのではないだろうか。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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