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“NPB経ずMLB行き”を考える 待遇は改善、淘汰は過酷…米マイナーの実態 1プレーで烙印「誰も言ってくれない」

最低給与は大幅引き上げ、食事も改善 育成は効率化

 似たような話は他球団でも聞いた。ブルージェイズは寮は持っていない。しかし、前述したようにマイナーの選手たちは住居を提供されている。提供されている住まいからキャンプ地にある最先端のトレーニング施設へ通う。ここも年間通じて使うことができ、リクエストすれば、コーチの指導を受けられる。施設内には面談のための部屋がたくさんあった。ひとりひとりを評価し、育成計画を作り、それを選手に伝えていくということがなされている。

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 また、2021年には、マイナーリーグが再編された。全体で160あった傘下のマイナー球団を120に減らした。狙いは育成体制の効率化だ。試合の日程も大きく変わった。マイナーではバスで長距離移動することが多く、これが大きな負担になるとされてきた。しかし、対戦する球団同士ができるだけ近くなるようリーグを組み直し、原則として同じ球場で同じ相手と6連戦を行う日程に改めた。

 さらに2022年9月には大きな出来事があった。マイナー選手は大リーグ選手会の下で組織化され、翌年、MLBとの間で初めての労使協定を結んだ。現在の協定は2023年から2027年まで。選手側が団体交渉を通じて待遇を改善し、その条件を労使の約束として定める仕組みができた。最低給与は大幅に引き上げられた。医療面ではセカンドオピニオンを求める権利が整えられ、食事についても改善された。

 過去にはマイナーリーグの労働環境は厳しいのが当たり前で、そこを這い上がってくるものだけがメジャーリーガーになれるという風潮があった。しかし、2014年には、元マイナー選手らが、最低賃金などを巡ってMLB側を提訴。こういった訴えをきっかけに、労働者の権利という観点からマイナーリーガーの労働条件についての批判もなされていた。MLB側からすれば、批判をかわし、労使協定を締結する一方で、育成の効率化を図ったといえるだろう。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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