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井口ジャパンが背負う大きな十字架 WBCでは果たせない…金メダル東京五輪に残る無念の“リベンジ”

五輪への思いを語った井口新監督【写真:羽鳥慶太】
五輪への思いを語った井口新監督【写真:羽鳥慶太】

「WBCとは違った盛り上がり」五輪で好勝負を見せないといけない理由

「東京五輪に参加したあのチームの素晴らしさを、どうしても伝えきれない部分があった。それは本当に残念に思っています」

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、1年間開催を延期して行われた東京五輪だったが、スタンドに観客を入れることはかなわなかった。金メダルを首にかけた日本の選手たちを見守ったのは、横浜スタジアムの無人のスタンドだった。「テレビ中継やいろいろなインタビューで、その瞬間は感動してもらうことはできたかもしれない。でも実感がどうしても伴わないんですよ。現地で見た人がいないのだから」と山中氏が言うように、日本球界は野球の魅力を拡散するチャンスを逃したのだ。

 山中氏は1992年のバルセロナ五輪で日本代表監督を務め、銅メダルを獲得している。その時痛感したのが、五輪というイベントの持つケタ違いのパワーだった。この日の会見でも「オリンピックというのは、WBCとは違った意義があったり、盛り上がりがあるんです。井口監督もアトランタを経験しておりますし、私もそういった経験をさせていただいております」と口にした。特に子どもたちと母親に野球の魅力をアピールするのに、これ以上の機会はないのだという。

 プロ野球の観客動員は昨年、史上最多の2704万人に達した。コロナ禍による危機を乗り越え、繁栄を続けているように見える。ただ足元では、野球をする子どもが恐ろしい勢いで減っている。少子化をはるかに超えるペースだ。

 例えば昨年度、日本中学校体育連盟が発表した男子の軟式野球部員は13万85人。これはバスケットボールの15万4929人、サッカーの14万8730人に水をあけられている。女子を含めればさらに差は開く。軟式野球単体で見ても、男子部員は10年前の2015年度から36%減、20年前の2005年度から見れば56%減という衝撃的な数字なのだ。

 井口監督は、日本野球の一番の良さを「チーム力だと思います」と表現した。「短期決戦では、個の力だけでは世界一になれません。お互いを信じ、高め合い、理解し、1人1人がチームのために戦う集団こそが、本当に強いチームだと信じています。日本らしい緻密さ、粘り強さ、そして挑戦する姿勢を世界に示していきたいと思っています」。野球に魅力を感じて、始めようと思ってくれる子どもたちが増えなければ、その命脈も細っていく。

 初陣は、11月12日から東京ドームで行われる「ラグザス アジア プロ野球チャンピオンシップ 2026」に決まった。韓国、台湾、オーストラリアが参加し、24歳以下の若手が中心だ。ここに姿を現す日本代表はどのようなメンバーになるのか。大きな十字架を背負った新体制が2年後、ロスの夏を目指し走り出す。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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