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ラグビー日本が目指した「2019年スタイルの進化系」 W杯2大会を指揮、ジョセフ体制7年の評価

アイルランドなど強豪国は「ラグビーが変わった」

 では、グラウンドレベルでの取り組みは、専務理事にはどう映っていたのか。ジェイミー・ジョセフHC体制は2つのW杯に跨る7年という長期政権だった。過去の日本代表指導者を見ても、2つのW杯を指揮したのは2007、11年のジョン・カーワンHC以外にはいない。長期間、同じ体制で強化を続けてきたことには、必ず功罪があるはずだが、岩渕専務理事はこう指摘する。

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「それは両面あると思います。これから理事会でも話していきたいと準備しているのですが、先ほどのシステム的にどうだという議論はありますが、じゃあチームの中身はどうだったかという議論は、我々の中でも現時点(11月下旬)ではまだちゃんと行われていません。そのような中で、今回のW杯でもいろいろなスタッツ(データ)を見たり、2019年から23年へかけての他の国のラグビースタイルの移り変わり方を見ると、おそらく日本代表が目指したのは19年のスタイルの進化系だと見ている方が多いのではないかなと思います」

 最終的なジョセフ体制の総括は現在進行中だが、W杯を終えた段階での専務理事の目には、日本代表のラグビーは戦術やスタイルの大幅な変革ではなく19年大会のラグビーを継続して強化が続けられてきたと映っている。

「一方で、例えばアイルランドなどの強豪国を見ると、19年から23年にかけてラグビーが変わっているという印象もある。どちらがいい、悪いではないですが、2大会続けるのか、指導者が短期的に(1大会で)変わるかということで大きな違いがあるかなとは思います。カーワンHC(2007~11年)の時代もそうですが、同じ人がやることでラグビーそのものの大きな変化というのはなかったのではないか。他の国を見ても、2大会続けてやった指導者で、何か大きくラグビーが変化したというケースは、たぶんそんなにないと思います。ラグビースタイルのトレンドとか、今のラグビーの流れの中で、チームがどう力を発揮できるかというのは、しっかり分析しないといけないと思って準備しているところです」

 立場上、明確な良し悪しは避けたが、長期政権の難しさは認めている。世界のラグビーの流れを見れば、従来のスタイルを明確に打ち出して結果を残したのは連覇を果たした南アフリカ以外には多くはない。強豪国の多くは、戦術、スキルなどのイノベーションをしながら、より上位に食い込もうと鎬を削り、W杯へ向けた強化を進めている。新たなトレンドをどれだけ早く察知し、チームに落とし込めるかという情報戦は、スピードが重視される時代を迎えているのも明らかだ。

 注目される次期HCは、近日中にも決まりそうな状況だが、ジョセフ体制でのポジティブな要素や課題も踏まえた審議をしているはずだ。では、岩渕専務理事が新体制に求めるのはどんなことだろうか。(中編へ続く)

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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