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ラグビー日本が目指した「2019年スタイルの進化系」 W杯2大会を指揮、ジョセフ体制7年の評価

ジェイミー・ジョセフHCが率いた7年間を、岩渕健輔専務理事は功罪両面から総括した【写真:編集部】
ジェイミー・ジョセフHCが率いた7年間を、岩渕健輔専務理事は功罪両面から総括した【写真:編集部】

W杯の戦いを評価すべき2つのポイント

 フランス大会を現地で取材した中で日本代表のパフォーマンスを評価すると、期待感がありながらイングランド、アルゼンチンとは力の差が明らかだったと感じている。つまり、2023年の日本代表には8強に食い込む力はなかったと受け止めているが、専務理事はプール戦を突破できなかったという現実よりは、若干ポジティブな評価をしているようだ。

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 インタビューが行われた11月下旬の時点で、日本協会ではフランス大会までの評価と次期HCの選考が様々な部署で続けられていた。協会としての最終的なフランスW杯の総括はされていない段階だったが、専務理事は今大会に向けた日本代表の強化を2つのポイントから評価するべきだと考えている。

「(23年W杯までの)振り返りという点で考えないといけないことは2つあると思います。1つは主に協会としてですけれど、システム的にどうだったのかということです。いろいろなところで議論されているスーパーラグビー(南半球最高峰の国際リーグ)から日本チームが抜けたことの影響や、テストマッチの数が十分だったのか。あるいはもっと大きな話で言えば、日本ラグビー全体の話で高校や大学のシステムがどうだったのか。

 もう1つはグラウンドレベルの話です。コーチングはどうだったのか、戦術はどうだったのか、メンバーの選考などもそうですね。その2つをしっかり考えないといけないと思います」

「システム」「グラウンドレベル」という2つの項目について検証が必要だという専務理事だが、前者については、筆者もこれまでコラムで何度か指摘してきた。2019年大会まで日本代表、代表候補の強化に貢献してきたサンウルブズが、2020年シーズンでスーパーラグビーから除外されたことと、コロナ禍による代表活動の停滞が強化に大きく影響してきた。専務理事は、このようなマイナス要素を認めながらも、それが今回の成績の大きな要因ではないという。

「影響は少なからずあったと思います。でも一方で、世界中の国を見た時に、日本と比べてどうだったのか。そこばかりが大きな(マイナス)ポイントになるとは考えていません。そこは代表チームとも話し合ってきたことです。合宿をやるかやらないか、あるいはアウェーのゲームをやるかどうかという話し合いの中で(強化を)進めていった。なので、少なくとも代表チームと協会の中で、スーパーラグビーやコロナの影響が(プール戦敗退の)原因になるということはないと思っています」

 協会と代表首脳陣の間では、スーパーラグビーからの離脱やパンデミックによる強化の停滞を踏まえた上で、様々な強化計画が練られ、実行されてきた。このような状況をコーチ陣も承諾の上でフランス大会までの強化が進められてきたために、決勝トーナメント進出失敗の主要な理由にはならないというのが協会上層部の見解だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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