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ラグビー日本が目指した「2019年スタイルの進化系」 W杯2大会を指揮、ジョセフ体制7年の評価

代表強化のやり方は「シフトしなければならない」

 一方で筆者はこれまでのコラムで、2019年大会までの日本代表にとっては、他の強豪国以上に強化時間を作り、チームの完成度を高めてきたことが強みになっているとも書いてきたが、専務理事はフランス大会へ向けた代表強化については、従来よりも時間の使い方などに大きな変化が求められる時代を迎えていたと指摘する。

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「15年も19年もそうですが、選手たちがどれくらい一緒にいて、どれくらい同じ時間を過ごしたかが、いい意味で結果に影響してきたというのは間違いないと思います。一方で、それをいつまで続けられるかというのが大きな問題です。それがたぶん23年までの強化、そしてこれからの強化の中で、変えていかなければならない大きなポイントだと思います」

 19年大会の日本開催が決まってからは、ホスト国として代表の強化を推進することに大きなプライオリティーが置かれたのは間違いない。だが、日本大会の4年後に行われた今秋のフランス大会までの期間は、協会やラグビー界全般の機運とも、前の2大会ほどなりふり構わないような強化までは至らなかった。世界の潮流も、選手の過度の肉体的、精神的な負担を軽減するべきだという考え方が15年大会以降に活性化していた。

「それは選手のウェルフェア(福利、よりよい環境の整備を意味する)なども含めてです。見方を変えると15、19年が、あまりにも選手たちが一緒にいることで、彼らのプライベートな時間を犠牲にし過ぎたこともあった。それを永遠に続けて強化していくことができないのは明らかです。つまり、強化のやり方をシフトしていかないといけないのは、はっきりしている。なので、日本のアドバンテージである時間をふんだんに使えるということを、どこまで選手のウェルフェアを満たし、精神的なダメージにならないようにしながら確保していくかが重要になる。その一方で、減った分を国内の強化システムなどでカバーできるかというのが、まさに今回の大きな改善点の1つとして見えてきたことだと思います」

 15年、19年大会へ向けた準備時間の確保は、今は難しいというのが専務理事という立場での認識だ。強化時間が不十分だったという事実も踏まえた上で、その時間を過去の大会と同等に確保していくのは現実的には難しいというのが、協会としての現状でのコンセンサスと考えていいだろう。その制約の中で強化を進めた結果が、今回のプール戦2勝2敗での敗退だった。過去のようには強化のための時間、環境を潤沢に確保できない中で、これからの強化をどう進めていくかが、日本協会、代表チームのこれからの挑戦になる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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