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「勝ち続けることが人生じゃない」 ボクサー京口紘人の最終章、伝えたい敗北から這い上がる姿

ボクシングの前WBA世界ライトフライ級王者・京口紘人(ワタナベ)が20日、東京・墨田区総合体育館でフライ級(50.8キロ)転向初戦として同級10回戦に臨み、ローランド・ジェイ・ビエンディーマ(フィリピン)に3-0で判定勝ち(100-90×3)した。昨年11月に寺地拳四朗(BMB)との世界ライトフライ級2団体王座統一戦に敗れて王座陥落。3階級制覇に向け、約6か月半ぶりの再起戦を勝利で飾った。戦績は29歳の京口が17勝(11KO)1敗、27歳のビエンディーマが17勝(10KO)14敗1分け。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

ローランド・ジェイ・ビエンディーマに3-0で判定勝ちした京口紘人(左)【写真:浜田洋平】
ローランド・ジェイ・ビエンディーマに3-0で判定勝ちした京口紘人(左)【写真:浜田洋平】

京口紘人が6か月半ぶり再起戦

 ボクシングの前WBA世界ライトフライ級王者・京口紘人(ワタナベ)が20日、東京・墨田区総合体育館でフライ級(50.8キロ)転向初戦として同級10回戦に臨み、ローランド・ジェイ・ビエンディーマ(フィリピン)に3-0で判定勝ち(100-90×3)した。昨年11月に寺地拳四朗(BMB)との世界ライトフライ級2団体王座統一戦に敗れて王座陥落。3階級制覇に向け、約6か月半ぶりの再起戦を勝利で飾った。戦績は29歳の京口が17勝(11KO)1敗、27歳のビエンディーマが17勝(10KO)14敗1分け。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 まだ完璧ではないけれど、京口は確かに立ち上がった。初回から得意の左ボディーを入れるなど優勢の展開。フックや接近戦からのアッパーで多彩さを見せた。相手の嫌がるボディーに左右の拳を突き刺した。防御を固める相手に対し、決め手を欠きながらも主導権を握ったまま終盤へ。最終10回はワンツーでぐらつかせるなど、フルマークの完勝だった。

 5回頃に右拳が相手の額に当たり、「あーっ!と思った。ジャブで電気が走る感じがした」と負傷。中盤で左拳も痛めた。「ファンが求めるボクシングはもっとあると思う。不甲斐ない。もっとスケールアップしたかった。納得がいっていない」。リング上では駆け付けたファンに感謝を告げた。直後、マイク越しに送ったメッセージ。自身の姿から伝えたいことがあったように見えた。

「昨年11月に初黒星を喫したけど、勝ち続けることが人生じゃない。負けることもあります。再び立ち上がることができる。こけても立ち上がれる。今、何かと不安を持って生きている方もいると思いますけど、僕はこうして立ち上がりました。ファンの皆さん、何が起きても立ち上がってハッピーな人生を送りましょう。今日はありがとうございました!」

 昨年11月の寺地戦。今後の人生を大きく左右するビッグマッチだった。5回に先制ダウンを喫した直後に猛反撃。「記憶が飛び飛び」と無意識だったが、連打を繰り出し、寺地をぐらつかせた。土壇場で体が勝手に反応するのも、基本に忠実に、長年にわたって鍛錬を積んできたからこそだった。

 7回のダウンでプロ初黒星。チャンピオンベルトを奪われたが、グラブを吊るす未来は見えなかった。

「勝ち続けることは難しいし、負ける日はいつか来る。それがあの日だった。ただ、あれでは終われない。辞める選択肢はなかった」

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