[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「勝ち続けることが人生じゃない」 ボクサー京口紘人の最終章、伝えたい敗北から這い上がる姿

再起戦のリングに上がった京口(中央)、会場から大きな拍手で迎えられた【写真:浜田洋平】
再起戦のリングに上がった京口(中央)、会場から大きな拍手で迎えられた【写真:浜田洋平】

新妻は手料理でサポート「おいしい、おいしいと言ってくれるので、私も楽しい」

 すぐに再起を決断。1.9キロ重い1つ上のフライ級に転向した。1月、インフルエンサーの「あきまっくす」として活動してきた亜希さんと結婚。アスリートフードマイスター3級の資格を持つ妻にサポートしてもらった。炭水化物、たんぱく質などのバランスを考慮されたメニューに舌鼓。玄米食、野菜スープ、緑黄色野菜も豊富に摂り、ボクサー仕様の食事で体を作った。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

「めちゃめちゃ美味いですよ。その日のメシが何か楽しみだった。(メニューを)リクエストしたらアレンジしてくれる」。計量直後のリカバリー食は、たまご入りの鶏雑炊。胃に負担がかからぬよう、カブ、ニンジン、ネギ、鶏肉は丁寧にみじん切りされていた。亜希さんも「『おいしい、おいしい』と言ってくれるので、私も楽しく作っていました」と幸せそうに笑う。

 これまでより1.9キロ重い階級。背筋など上半身が大きくなり、減量の過酷さは変わらない。初めての階級のため、減量過程で体重データを細かく記録。パワーを保ちながら、9キロ弱を落とし切った。「結婚して負けられない。勝たないといけないなという気持ちは今まで以上に大きい」

 プロになって初めての再起戦。「心の持ち方は意識した。初心に帰ること」。強いとは言えない相手だったが、世界ランカー(フライ級はWBC7位)の京口を倒せばその後のチャンスが広がる。「相手は強い気持ちで挑戦してくる。それを上回るように」。小林尚睦トレーナーにも口酸っぱく言われた。

 よもやのアクシデントで仕留めきれなかったが、最低ラインに掲げた勝利を死守。「勝ってリングを降りられてよかった。サポートしてくれた妻に感謝です」。会場に駆け付けた妻に感謝した。

 陣営の渡辺均会長は「フライ級で世界を獲りたい気持ちが強い。もう2、3戦してチャンスをつかめたら」とサポートを約束。京口は「(新階級に)まだアジャストしきれていない。とりあえず勝てたことがよかった。少しずつですね」と課題克服に意欲を見せる。

「これが最終章。やり切りたい」

 酸いも甘いも経験した29歳。再び輝くまでの過程にも、届けるべきストーリーがある。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集