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日本の育成環境では「成長スピードが減速」 U20ラグビーHC、学校単位の現状に持論

高校日本代表がアイルランド遠征を実施し、同国U19代表に1勝1敗(遠征通算2勝1敗)の好成績を収めて3月28日に帰国した。パンデミックによる4年ぶりの海外遠征で、正代表が世界ランキング1位の強豪国で1歳上世代の代表と渡り合い、敗戦した試合も41-42という戦いぶりだったのは大きな収穫だ。兄貴分のU20(20歳以下)日本代表は、3度の選考合宿を終えて3月26日からはメンバーを37人まで絞り込んだ合宿を展開。6、7月の世界大会「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ」へと強化を推進する。

日本のユース世代の現状について語ったU20日本代表のロブ・ペニーHC【写真:吉田宏】
日本のユース世代の現状について語ったU20日本代表のロブ・ペニーHC【写真:吉田宏】

U20日本代表のペニーHCや関係者が語るユース世代の強化

 高校日本代表がアイルランド遠征を実施し、同国U19代表に1勝1敗(遠征通算2勝1敗)の好成績を収めて3月28日に帰国した。パンデミックによる4年ぶりの海外遠征で、正代表が世界ランキング1位の強豪国で1歳上世代の代表と渡り合い、敗戦した試合も41-42という戦いぶりだったのは大きな収穫だ。兄貴分のU20(20歳以下)日本代表は、3度の選考合宿を終えて3月26日からはメンバーを37人まで絞り込んだ合宿を展開。6、7月の世界大会「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ」へと強化を推進する。

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 一方で、U20世代が正代表入りするには大学、リーグワンでの成長が通例の日本と、同カテゴリーを卒業して翌年からプロリーグ、代表に昇格する選手もいるティア1と呼ばれる強豪国との格差は歴然とある。9月に開幕するワールドカップ(W杯)で前回大会の8強超えを目標に掲げる日本代表が、真のティア1クラスになるための課題が、ユース世代から正代表への強化、育成の道筋からも読み取ることができる。(取材・文=吉田 宏)

 ◇ ◇ ◇

 ラグビーの前に、知ったかぶりの講釈から始めよう。考古学、生物学などで使われる「ミッシングリンク」についてだ。訳せば「失われた環」。小学館デジタル大辞泉には、【生物の進化・系統において、化石生物も存在が予測されるのに発見されていない間隙。系図を鎖に見立てていう】と書かれている。進化のために、本来はあるべき鎖の環がどこかで途切れている――。こんな考え方が、日本代表の強化にも存在する。それがユース世代の強化育成だ。

 2011年のW杯ニュージーランド(NZ)大会で衝撃を受けた選手がいる。ウェールズ代表FL(フランカー)サム・ウォーバートンだ。その巨木をもなぎ倒すようなハードタックルにも驚かされたが、さらに衝撃的だったのは、大会前に22歳という若さで、一時は世界最強を誇った伝統国のキャプテンを託されたことだ。ウォーバートンは2008年に母国で行われたU20の世界大会「ジュニアワールドチャンピオンシップ(JWC)」で主将として活躍。翌年には正代表入りして、2年後にはキャプテンとしてチームをW杯ベスト4まで引っ張った。

 ウォーバートンに見せつけられたのは、2011年の段階で世界はすでにU20カテゴリーで活躍した選手が、早ければ翌シーズンから代表ジャージーを纏い、世界最高峰の舞台でトップ選手として渡り合う時代を迎えていたという現実だった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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