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日本の育成環境では「成長スピードが減速」 U20ラグビーHC、学校単位の現状に持論

学校単位でラグビーが発展した日本の事情

 今季のU20代表候補の顔ぶれを見ても、在籍する大学チームで主力として活躍する選手は限られている。昨季の大学1、2年生のため、将来性は期待されていても大学ではまだレギュラー未満の選手が多いからだ。U20チャンピオンシップを終えて所属チームに戻っても、一部の選手は高いレベルの実戦を十分に積むことが難しい。主力メンバー入りしたとしても、関東大学対抗戦や関西大学リーグなどの大半は3か月ほどの期間でわずか7試合しか行われず、その半数の試合は実力格差の激しいワンサイドゲームだからだ。

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 ペニーHCが「構造」と指摘したのは、海外強豪国ではクラブチームを基礎単位として選手の強化、育成が行われているのに対して、日本では伝統的に高校、大学など学校単位でラグビーが発展したことによる影響を指す。互いにメリットもあるのだが、日本の部活における強化の弊害は1軍至上主義的な価値観だ。これは、チームだけではなく、日本人が好きなノックアウトトーナメントのような制度が生んだ問題でもある。

 すべてが1軍チームの勝利を優先させられるために、結果的に主力選手以外の育成が後回しになる。もちろん2軍、3軍選手によるジュニア大会など、大学リーグでも若手に実戦経験を積ませる取り組みもあるが、1軍の公式戦自体の試合数、競技レベルも含めて、少し乱暴に言えば大学ラグビー部が原石の放牧場のような状況になっている。

 このような“放牧期間“を、どれだけ質の高い強化育成の時間に変えることができるかが、日本ラグビーがこれから埋め合わせていかなければいけない強化のミッシングリンクになる。

 現場で日本のユース世代の選手と向き合うペニーHCは、このようなリンクを埋めるアイデアも語ってくれた。

「日本で何かを試みるとしたら、大学リーグの下で1、2年生がプレー時間を増やせるような大会を作ったり、大学以外でもそのような試合が組めればいい。大学卒業後の1、2年目でも、必ずしも即戦力という選手は多くないため、プレー時間は限られてしまう。彼らを集めて、例えば1か月に1回程度でもいいから試合を組むような枠組みを作るのも1つのアイデアだと思います」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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