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ラグビー・リーグワン開幕1年目総括 平均観客数3227人と苦戦、関係者が明かした実情

集客、チケット販売の大きな課題

[2]については、[3][4]とも関わる課題でもあるが、集客、チケット販売は実際にどのチームもこれからの大きな課題であり、挑戦になると認めている。集客に関しては、将来的なプロ化を実現するためにも、チーム運営のための根本的な原資になるものだが、即効性のある手立ても処方箋もないのが現実だ。集客の前提になるリーグ、チーム自体の認知度を高めることも、個々のチームレベルでは取り組んでいる一方で、効果的な施策は手探りが続いている。

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 リーグが誕生したばかりのための“手探り”は止む得ない部分もあるが、その一方で取り組みが不十分だった印象も残った。

 例えば、いつ、どこで、どうすれば観戦できるのか、つまりチケット(販売)情報を、より多くの人たちに共有してもらうための工夫、チャレンジはどこまでできていたのだろうか。今まで以上に広範囲な告知を目指すためには、選手、スタッフはもとよりファンにも協力を仰ぎ、個人のSNSも利用して情報のリンクを広げるなどして、さらなる情報の拡散、共有を目指すような取り組みが、もっとあってもいい。

[3]の事業化、財務に関して東海林専務理事は、こう語っている。

「チケット収入だけですべての必要な経費と投資を賄える状況は起こりえないと思います。収入はチケット販売、母体企業からのスポンサーシップ、その他のパートナーからのいろいろなサポートといったものを組み合わせて、収入構造を作ることが必要になってくると思います。この半年、1シーズンを経て我々リーグ側がやるべきことは、収入構造の一つのひな型、モデルケースをきちんとチームに提示して、それをチームがどう実現していくかを考えてもらうこと。これをシーズンオフの間に明確にして、目指すべき形を作りたい」

 入場料収入に加えて、放映料収入、グッズ販売、1つの親会社だけに依存しないスポンサーシップの獲得などで、多角的な収益構造を目指すのが、リーグワンが思い描くプロ化の姿と考えていいだろう。発足から長らく1企業中心のスポンサーで運営されてきたプロ野球でさえ、多くのスポンサーなどとのビジネスチャンスを模索、構築している時代だ。様々な「お金の生み出し方、もらい方」を思い浮かべることは可能だろうが、忘れてはいけないのは、チーム外から様々な収益を得るためにも「観客数」が重要な足場になるという鉄則だ。プランAもあるけれど、BもCも、もし困ったらDもある――こういう柔軟な発想も時にはいいだろう。だが、プランAをしっかりと実現できて初めて、B、Cというプランも実現に近づくという場合もある。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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