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ラグビー・リーグワン開幕1年目総括 平均観客数3227人と苦戦、関係者が明かした実情

コロナ禍のリーグ運営で判断に甘さ

 このように評価ポイントを挙げる一方で、同専務理事は1シーズン目に浮上した課題も指摘する。

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「課題としては、ファン、チームの皆様にも迷惑をかけたコロナ対応というところで、リーグとしてオペレーションをさらに高める必要があった。2つ目が、リーグ自体のファンの皆様への浸透というところ。ファイナル、プレーオフを多くのファンに見ていただきましたが、全体としてはまだまだこのリーグが何を目指すのか、どういうラグビーをしていくのかという部分の浸透は途上だった。3つ目ですが、主管権がリーグからチームへ移譲されるなかで事業力の強化を謳っていますが、さらに収入機会を増やすこと、試合や人件費などのコストマネジメントをさらに高めて、財務の安定性を高めていくことが必要です。そして4つ目にチケット販売、5つ目はホストスタジアムの運営の安定化を改善していく必要があると考えています」

 箇条書きすると、このような課題になる。

[1]コロナ禍のリーグ運営の不備
[2]集客とそれに先立つリーグ認知度の不足
[3]事業化推進による財務の安定化
[4]チケット販売の拡大
[5]ホストスタジアムの安定的な確保と運営

[1]のコロナによる影響については、ラグビーでもラグビーを離れた社会でも、様々な制約や制限に揺さぶられながら適応してきた。そのなかで、5月7日のリーグ戦最終節に予定されていたリコーブラックラムズ東京-NTTドコモレッドハリケーンズ大阪が、当日になって中止となった事態を、同専務理事は深刻に受け止めている。確かに刻々と状況が変化するなかでのリーグ側の判断の甘さが、ファン、チームへのしわ寄せとなってしまったのは間違いない。

 だが、あまり前例のない特異なケースが複合的に重なり、起きた判断ミスだという側面もある。やはりいまだにニューノーマルのなかでの予期せぬ事態は起こるのだと理解する必要がある。不測の事態だったという事情は認めるべきだろう。むしろ、一度は泊りがけなどで長距離移動してきたファンに経費の負担をする主旨を示しながら、いつの間にか「プレーオフ観戦券」に変更するなどの一貫性のなさ、実害があったファンへの向き合い方に疑問を感じざるを得なかった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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