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ラグビー日本代表、善戦の裏に見えた格差 世界ランク3位・豪州戦データが示す課題

日本の「パス数」の少なさは気掛かり

 オーストラリア戦のスタッツ(ゲームデータ)に触れておこう。スタッツは、集計方法などで誤差は生じるものだが、とあるスタッツではボール保持率(ポゼッション)は日本の41%に対してオーストラリアは59%、地域占有率(テリトリー)は日本44%、オーストラリア56%と、スコアとも比例する数値が出ている。前半よりも主導権を握られた後半に日本の数値が下がっているのもデータは物語っていた。タックル成功率では、日本の87%は勝者の数値だが、オーストラリアは95%という完勝の数値を叩き出している。日本自慢の攻撃は、ほぼ封じ込まれたのだ。

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 その中で気掛かりなのはパスの回数だ。日本の112回に対して、オーストラリアは185回のパスをしている。ランメーターと呼ばれる攻撃での走行距離が日本349メートル、オーストラリア366メートルと大きな差がない中で、パスの少なさが目立つ。伝統的には、パス回数を増やしてボールを動かし続け、相手を揺さぶることでスコアチャンス、そして相手の消耗も引き起こそうというのが日本の戦い方だった。しかし、この試合ではハイパントも含めたキックが目立った一方で、多彩なパスでのアタックは多くはなかったのだ。数値にも出たオーストラリアの固い防御だけがその要因なのか、キックも含めたそれ以外の原因が日本の攻撃スタイルに変化を及ぼしているのか――。これから始まるヨーロッパ遠征での戦いぶりに注目したい。

 数値でもう一点、課題を残したのはラインアウトだろう。この数値も、ラインアウトが成立したか否かなどの判断で誤差はあるが、手元で数えたものでは日本は14回のラインアウトで10回を成功して、オーストラリアは11回中9回。71%という成功率は苦戦を物語っているが、実際にはそれ以上に苦しんでいたはずだ。日本のように、スピードのあるアタックに強みを持つチームは、相手防御との距離が20メートルと広いラインアウトからの素早い攻撃は大きなチャンスになる。そのため、単純にラインアウトでボールを確保した数字ではなく、素早くボールを展開するためにクリーンキャッチできた回数が重要になる。

 日本がラインアウトを成功させた10回の中でも、クリーンキャッチできなかったものが少なくとも2回あったことを踏まえると、真の成功率は60%を下回ったことになる。このような数値が、日本が善戦した中でも勝てなかったことの裏付けになる。高さの面では、多くの強豪国が2メートル級の長身選手を擁しているが、日本の場合はジェームス・ムーア(NTTコム)らの195センチ止まり。10月28日に急遽、高卒1年目ながら202センチのワーナー・ディアンズ(東芝)を遠征メンバーに加えたのも、2023年を見据えた高さ対策と考えていいだろう。

 日本代表が次回W杯でトップ4に食い込むためのキーポイントになると考えられるのが、ボールインプレーと呼ばれる80分の中でのプレー時間だ。スクラムなどで何度もプレーが止まるラグビーでは、現在は35分前後が代表戦のインプレー時間。日本が金星を挙げた2019年W杯スコットランド戦では40分を超える数値を出しているデータもある。運動量、スピードで相手を上回ろうとする日本代表は、スコットランド戦のようなインプレー時間をするためのチャレンジをしている。このインプレー時間については、試合後の会見でジョセフHCはこう語っている。

「自分たちの中で(攻撃時に)勢いを失ってしまう場面があった。規律も悪かったのだが、自分たちの速いラグビー、キックとランをしっかり使っていくラグビーができた時には良かったが、反則17回(公式記録は13回)とイエローカードは改善が必要だ」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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