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トップリーグ開幕から3週間 バレット、レイドローら“豪華助っ人”パフォーマンス診断

NTTコムに入団したスコットランド代表主将SHグレイグ・レイドロー【写真:小倉元司】
NTTコムに入団したスコットランド代表主将SHグレイグ・レイドロー【写真:小倉元司】

開幕から不動のスタメンのレイドロー

 伝統的に南半球勢の加入が多い日本だが、欧州のレジェンドも期待通りの活躍を見せる。NTTコムに入団した元スコットランド代表主将SHグレイグ・レイドローは、開幕戦から不動のスタメンに定着。好調のトヨタ、クボタに連敗するなど苦闘が続く中で、2015、19年W杯での対戦で日本代表を苦しめた視野の広さ、正確なパス、そしてキック力を新天地でもいかんなく発揮している。

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 同じSHでも、俊敏さを生かした個人技が武器のペレナラとは異なりパスワークが持ち味のため、ランプレーやステップなど派手なプレーは少ないが、攻撃のリズムを生み出すパスとゲームを組み立てる能力で、チームに欠かせない存在になっている。開幕からの3試合でも、どんな体勢からでも、ほぼミスなしでレシーバーが前に出ながらボールを受ける位置にコントロールされたパスが繰り出される。このパスの正確さと、テークバックがほとんどない速い球捌きのおかげで、アタックのラインスピードが加速され、より攻撃的なラグビーを生み出している。

 パスの供給役が中心のレイドローだが、ホンダとの開幕戦の前半36分には、敵ゴール前のラックから、ダミーパスで防御を吊って、密集に潜り込むようにインゴールに飛び込むトライを披露。視野の広さとキック力を生かして、後半途中には一時SOに入るなど、多彩な能力をアピールした。自慢のキックも、プレースキックと同時に、日本選手では真似できない高さと、正確性を併せ持つ攻撃的なハイパントが光る。第3節クボタ戦では、敵陣ラックから測ったようなパントをCTBシェーン・ゲイツに捕球させて、トライを生み出している。

 レイドローは昨季までスコットランド、イングランド、フランスと長らくヨーロッパ限定でプレーを続けてきた。ラグビースタイルとしては、FW戦を駆使しながら緩急のあるゲームテンポが特徴でもある地域だ。開幕からの3試合を見る限り、常にハイテンポでゲームが進む日本のラグビーにも十分適応できている印象だが、プレー時間を重ねれば、さらにバリエーションのあるアタックを引き出せるはずだ。

 開幕からトップレベルのスキルと判断力を見せ続ける4人にスポットライトを当ててきたが、彼ら以外にも多くのレジェンドたちが世界規格のポテンシャルを証明している、

 TJペレナラと同じNTTドコモに加入した南アフリカ代表WTBマピンピは、第3節リコー戦でTL初登場すると、後半開始直後に30メートルを独走するデビュートライを決めている。先にも触れた通り、終了直前のペレナラとの連携でチームに決勝トライをもたらし、W杯日本大会を制した南アフリカ代表でも発揮した勝負強さをいきなり見せつけた。

 日本では2シーズン目にはなるが、同じ南アフリカ代表の主力メンバーで、クボタに新加入したHOマルコム・マークスは、FW1、2列が持つパワーと同3列の機動力を併せ持つ身体能力で、ボールキャリー、接点でのフィジカルバトル、そしてラインアウトスローイングと異次元の強さ、精度を発揮し続ける。

 神戸製鋼コベルコスティーラーズに新加入したWTB/FBベン・スミスも、84キャップを積み上げたオールブラックス時代と変わらない、ボールを持てば常にトライか、トライチャンスを作り出すしなやかなで切れのあるステップでスタンドを沸かせている。

 彼らの高いスキルやパワー、華麗なプレーが日本のファンを魅了し、日本のプレーレベルを引き上げてくれるのは間違いない。しかし、彼らが日本ラグビーにもたらすのは、それだけではない。彼らの多くに共通するのは、常にひたむきで、献身的なプレー、取り組みを続けていることだ。試合でのパフォーマンスだけではなく、グラウンド外でのラグビーに向き合う姿勢、プロフェッショナルな自己管理などが、日本選手のマインドセットにも教科書やビデオでは得られない影響を与え、日本ラグビーのさらなるレベルアップに貢献するのは間違いない。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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