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猛暑の夏、自信の541球に見えた矜持と葛藤 1年間の準備に指揮官「迷いました」…挑み続けた“6年間”――鎌倉学園・堀井祥吾

第108回全国高校野球選手権の神奈川大会は24日、横浜スタジアムで準決勝を行った。鎌倉学園は5-10で桐光学園に敗れ、夏の甲子園初出場には届かなかった。エース左腕の堀井祥吾(3年)はチームを背負い、8回0/3で降板するまでに174球を投げ、10失点(自責9)。大会中盤から猛暑に見舞われたこの大会、合計で541球を投げるという選択には、本人が続けてきた努力と指揮官の苦悩が見え隠れした。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

桐光学園戦で174球を力投した鎌倉学園・堀井祥吾【写真:戸田湧大】
桐光学園戦で174球を力投した鎌倉学園・堀井祥吾【写真:戸田湧大】

第108回全国高校野球選手権・神奈川大会

 第108回全国高校野球選手権の神奈川大会は24日、横浜スタジアムで準決勝を行った。鎌倉学園は5-10で桐光学園に敗れ、夏の甲子園初出場には届かなかった。エース左腕の堀井祥吾(3年)はチームを背負い、8回0/3で降板するまでに174球を投げ、10失点(自責9)。大会中盤から猛暑に見舞われたこの大会、合計で541球を投げるという選択には、本人が続けてきた努力と指揮官の苦悩が見え隠れした。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 迎えた最後の夏。エースの矜持がそこにはあった。

 堀井は初回、桐光学園の「1番・左翼」の黄泰崇(3年)に右中間三塁打を浴び、捕逸で生還を許した。続く2、3回は無失点に抑えたが、今大会6試合で63得点を挙げている強力打線の勢いを止められず、9回先頭に四球を与えて降板。10失点を喫した。投球時は常に冷静沈着、苦しい顔一つ見せない背番号1は試合後「甲子園に行かなければ、何もなかったのと一緒。最後の最後、自分の中にまだ弱さがあったのかな」と、人目をはばからず涙を流した。

 川崎北との2回戦で94球完投(8回)、相模原城山との3回戦ではリリーフで12球を投げ、平塚学園との5回戦は延長10回、138球を投げ切った。さらに22日、桐蔭学園との準々決勝では、横浜市の最高気温が35.3度に達する猛暑の中で123球完投と、エースの役割を全うした。「過酷なスケジュールになることは元々分かっていたので。想定内でストライクを投げ込めました」と語る表情には、3年間で積み上げた自信が宿る。

 大会を通じて投げ込んだ541球。ハードな日程をやりぬけたのは、日頃のスタミナ強化のおかげだ。冬場は連日坂道ダッシュ30本と、100メートル走30本を完走。食事面でも、弁当のほかにおにぎり5個や魚肉ソーセージ2本、ゆで卵2個、そしてプロテインを練習終了までに摂取し、ひと冬で15キロ増量した。最後の夏は、自分がチームを背負うという強い意志の表れだった。

 ただ、高校野球でも複数の投手をやりくりしながら戦うチームが増えている今、堀井を先発完投というスタイルで起用し続けることには竹内智一監督も頭を悩ませたという。この日の先発登板にも「もちろん迷いました」と葛藤があった。試合の前夜に「いけるか?」と堀井に問うと「いけます」と自信満々の言葉が返ってきた。「堀井の気持ちや体の状態も全部合わせて、こういう判断をさせてもらった」と、3年間育て上げた教え子の成長に目を細める。

 堀井は鎌倉・岩瀬中時代、関東大会で敗れ全国にはあと一歩届かなかった。そこから3年、再びのチャンスにも扉は開かなかった。「自分たちが勝てなかったので、来年こそは甲子園に行ってほしい」と後輩たちへ思いを託す。全国に挑み続けた“6年間”の歩みは、今後のステージに間違いなくつながっている。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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