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神奈川8強でも…市ケ尾監督、甲子園を狙わないワケ「目指すなら全員塾を辞めろと」 自主性重んじたマネジメント術

高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は21日、横浜スタジアムで準々決勝が行われ、市ケ尾が4-11で横浜に8回コールドで敗退した。今大会が最後の指揮となった菅澤悠監督は、「甲子園を目指さない」考えの持ち主。自主練習の増加やナインの意見を取り入れる柔軟なアプローチでチームを史上初のベスト8まで導いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

横浜に最後まで食らいついた市ケ尾ナイン【写真:戸田湧大】
横浜に最後まで食らいついた市ケ尾ナイン【写真:戸田湧大】

第108回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は21日、横浜スタジアムで準々決勝が行われ、市ケ尾が4-11で横浜に8回コールドで敗退した。今大会が最後の指揮となった菅澤悠監督は、「甲子園を目指さない」考えの持ち主。自主練習の増加やナインの意見を取り入れる柔軟なアプローチでチームを史上初のベスト8まで導いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 4季連続で甲子園出場を狙う王者・横浜に最後まで食らいついた。

 初回にいきなり4失点。3回までに6点リードを奪われたが、一時は2点差に迫る粘りを見せた。苦しい展開でも生き生きと、楽しそうな表情でプレーするナインたちの姿が印象的だった。公立では唯一の8強。「多分、練習でうるさく言われすぎて試合だと良い顔するんじゃないかな」。試合後、指揮官は苦笑いを浮かべながら教え子たちを労った。

 昨夏3回戦で敗れた2日後、新チームが1時間のミーティングで定めた目標は「夏のベスト8入り」。公立校ながら過去4年間で3度のベスト16入りを果たしており、甲子園を視野に入れても不思議ではないが、菅澤監督の考えは違う。

「甲子園を目指すなら、まず全員塾を辞めろと。不可能とは言わないですけど、ものすごい金額や時間をかけることになる」

 練習時間は平日2時間程度で、休日も練習試合がなければ3~4時間ほど。生活の全てを野球に捧げる強豪私学とは、環境がまるで違う。

 進学校に通いながら群雄割拠の神奈川で8強まで勝ち進むには、主体性の醸成が不可欠だと強く認識した。そのため個人練習に充てる時間を拡大させ、週1回は1時間の自主練習とウェートトレーニングのみで終える日もあるという。

「『自分たちで上手くなりなさい』というスタンス。個人で伸びてもらわなきゃ勝負にならない。こっちで教え込んでも147、8キロは打てないので」

 選手の意見も取り入れる柔軟性も持ち合わせている。4回戦の川崎工科戦では、エースの大塚遼(3年)が登板の“回避”を希望。もちろん「可能であれば」という前提だが、5回戦以降の戦いを見据えての意見だった。

 菅澤監督は「うちのチームでは許されるんです(笑)。その代わり2日後(5回戦)のピッチングはちゃんと責任を負ってもらうので」と説明。4回戦で登板しなかった大塚は川和との5回戦で9回117球を投げて6安打1失点。完投で目標の「夏ベスト8」をつかみ取った。

 自主性を生かすマネジメント術でチームを横浜スタジアムまで導いた指揮官。「彼らは自分たちに必要なことが分かっている。だから私の要求に応えられるし、それ以上のプレーができるんです」とナインへの信頼を口にした。野球部が掲げる理念は「GRIT~やり抜く~」。自ら考えることを貫いた3年間は、今後に必ず役に立つはずだ。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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