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賛成と反対が見えない武器を持った東京五輪 野口みずき「人を攻撃する言葉を捨てて」

野口みずきさんがコロナ禍の世間に願うことは【写真:荒川祐史】
野口みずきさんがコロナ禍の世間に願うことは【写真:荒川祐史】

コロナ禍の世間に願い「五輪をきっかけに互いを思いやれるように…」

 でも、みんなが同じ方向に進んでいくのではなく、何通りもの人の想いがある大会も新しくて、それはそれでいいと思います。いろんな意見があることは大事。私もネガティブな意見を聞いて「なるほどな」と思ったり、少し不安になったりしたこともありました。

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 選手は、世の中は何でもかんでもポジティブに捉えてくれる世界ではないと知ることができたのではないでしょうか。私は現役時代に「走った距離は裏切らない」という言葉がずっと座右の銘でした。北京五輪の5日前に怪我で欠場してしまったとき、「走った距離は裏切らないと言っていたけど、練習のやりすぎで走った距離に裏切られたじゃないですか」と手紙をもらってハッとしました。

 引退後にも知人に「それってちょっと違うと思う」と言われた。確かにそうなんです。努力しても報われないことがある。怪我をしてから「自分の思っていたことは間違いだったんじゃないか」と、何度も何度も思わせられるくらい良いことばかりじゃない。世の中はネガティブなこともいっぱいあるし、綺麗事だけではないんです。

 だけど、それをいい方向に持っていくために自分がどう思うか、どう動けるか。それが大切なことだと思うんですね。今大会、怪我や誹謗中傷に遭ってネガティブな想いをしている選手もいます。でも、それをどう乗り越えるか。トップアスリートはそこが上手いような気がします。ただ、慣れてない選手にはずっしりと大きな重荷となる。そこをどう乗り越えるか、どう考えるか。それが大事だと思います。

 いろんな意見があるからといって、みんなネガティブになってしまったら立ち直れない。コロナ禍で世の中の人たちが少しバラバラになってしまったところで、できるならばオリンピックをきっかけに一つになってほしい。また互いを思いやれる関係性を築き上げられたらいいなと感じました。

 今後は今までの五輪のスタイルに戻ってほしいですね。もし、将来コロナのような予期せぬことが起きたとき、一つのモデルになるかもしれません。選手たちには最後まで五輪・パラリンピックどちらも胸を張って、しっかり集中して競技をしてほしいと思います。

■野口みずき/THE ANSWERスペシャリスト

 1978年7月3日生まれ、三重・伊勢市出身。中学から陸上を始め、三重・宇治山田商高卒業後にワコールに入社。2年目の98年10月から無所属になるも、99年2月以降はグローバリー、シスメックスに在籍。2001年世界選手権で1万メートル13位。初マラソンとなった02年名古屋国際女子マラソンで優勝。03年世界選手権で銀メダル、04年アテネ五輪で金メダルを獲得。05年ベルリンマラソンでは、2時間19分12秒の日本記録で優勝。08年北京五輪は直前に左太ももを痛めて出場辞退。16年4月に現役引退を表明し、同7月に一般男性との結婚を発表。19年1月から岩谷産業陸上競技部アドバイザーを務める。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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