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中高時代の無月経に潜むリスク 「疲労骨折は練習のやりすぎ」と思っていた大学生

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第7回は「無月経が骨に及ぼす影響」について。

10代女性アスリートの疲労骨折の割合は、正常月経群と無月経群で大きな差が見られる
10代女性アスリートの疲労骨折の割合は、正常月経群と無月経群で大きな差が見られる

連載「女性アスリートのカラダの学校」第7回―無月経が骨に及ぼす影響

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第7回は「無月経が骨に及ぼす影響」について。

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 これまで、生理による痛みやコンディションの変化、無月経が抱える妊娠・出産に関するリスクなど色々とお話ししてきましたが、今回は「骨」のお話。実は健康な生理と丈夫な骨作りは密接に関係していることを、知っていますか?

 骨はとても硬い組織ですが、他の体の組織と同様、常に新陳代謝が行われています。骨の新陳代謝とは、「骨を壊し→作る」を繰り返す体のシステムのこと。これを「骨のリモデリング」といい、年に20~30%の骨が新しくなっていきます。

 そして、骨のリモデリングは女性ホルモンと深く関わっています。

 女性ホルモンのエストロゲンは骨を壊す細胞、「破骨細胞」の働きを抑える作用があります。そのため、エストロゲンの分泌が急激に増える12~14歳では、骨のリモデリングは「少し壊す→たくさん骨を作る」状態に突入し、骨密度が急激に高くなります。

 ところが、女性アスリートに多い視床下部性無月経になると、女性ホルモン・エストロゲンの分泌量が低下。「骨を壊す→作る」というサイクルがうまくいかなくなり、それどころか「骨を壊す→もっと壊す」という負のサイクルになってしまいます。

 以前、この連載でもお話ししたとおり、「生理が止まる=女性ホルモンの分泌が低い」ことを意味します。実際、東京大学医学部付属病院・能瀬さやか医師らが行った調査によると、10代女性アスリートのうち、疲労骨折を発症した割合は、正常月経群では11%、無月経群では38%と非常に大きな差が見られたと報告されているのです。

 また、骨量は20歳で最大値を迎え、その後、増えることはありません。

 つまり一番、骨量が増える中学、高校時代に無月経になると、一生を健康的に過ごすために必要な骨量を得られないかもしれない、ということ。たとえ、中学・高校時代は骨折もなく、スポーツでも結果を出せたとしても、将来的には骨折を繰り返す恐れがあるのです。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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