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中高時代の無月経に潜むリスク 「疲労骨折は練習のやりすぎ」と思っていた大学生

女性は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に増える12~14歳に骨密度も急激に高くなるが、視床下部性無月経になると骨の新陳代謝がうまくいかなくなる【デザイン:野口佳大】
女性は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に増える12~14歳に骨密度も急激に高くなるが、視床下部性無月経になると骨の新陳代謝がうまくいかなくなる【デザイン:野口佳大】

「疲労骨折はただの練習のやりすぎ」と思っていた大学生

 私は体育大学で「スポーツ生理学」という科目を担当しており、運動が身体に与える影響について教えています。うちの学生のほとんどは高校まで運動部に所属し、シリアスな環境でスポーツに取り組んできた選手も多いのですが、女性ホルモンと骨代謝の関係について話をすると、男女ともに多くの学生が「初めて聞いた」と反応します。

 他県で行われたセミナーでこの話をした際も、参加していた陸上部に所属する女子大学生に「疲労骨折はただの練習のやりすぎだと思っていた」と声をかけられました。その時、「疲労骨折をしている」と松葉杖をついていた彼女は、高校時代に生理が止まっていた、今も生理不順だと言います。「もしかして、生理が止まっていたこととも関係していますか?」。そう心配を口にする女子学生に、「そうだね、練習のやりすぎもあるかもしれないけれど、生理が止まっていることも関係しているかもね。1日も早く、婦人科で検査を受けたほうが安心だよ」と伝えました。

 一般的には女性アスリートは骨密度が高い傾向にあります。なぜなら、骨には荷重がかかった部位の密度を高める性質があり、運動の刺激が骨密度を高めることに貢献しているからです。しかし一方で、繰り返し同じ場所に刺激を与え続けることで、骨の組織が壊され、発症する疲労骨折もアスリートの多いケガの一つです。

 骨量が増える中学・高校のうちに対策を取らないと、骨の問題は手遅れになる恐れがあります。女性アスリートに多い、視床下部性無月経は治療できます。10代の時に生理が止まり、女性ホルモンが分泌されないと、丈夫な骨も作られないということを心に留めておいてください。

 最後に、もっともっと先のこともお話しすると、妊娠中や授乳中も栄養不足の場合には貯蓄していた骨量がどんどん減ります。また、女性は閉経(生理が終わりを迎える)すると、エストロゲンの分泌量が一気に減り、骨密度も急激に低下します。

 中学・高校時代の無月経を放置すれば、将来、骨をボロボロにしてしまい、おばあちゃんになった時、転んだだけで骨折し、寝たきりの生活になってしまう。若い選手たち本人は想像しがたいかもしれませんが、ぜひ、この話を親御さんにも伝えてください。また、親御さんや指導者など身近にいる大人たちは、子供たちの一生のことを見据えて、10代の無月経を見逃さないでほしいと強く願っています。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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