向かい風でも12秒75大会新V 100m障害・中島ひとみ「6台は時間の問題」 アジア大会「金」へ自信
陸上女子100メートル障害の中島ひとみ(長谷川体育施設)が「大きな金メダル」への自信を深めた。5日、布勢スプリント(鳥取・ヤマタスポーツパーク)で、向かい風0.4メートルの条件下ながら12秒75の大会記録で優勝した。代表に決まっている今秋の名古屋アジア大会へ弾みをつけた。

布勢スプリント
陸上女子100メートル障害の中島ひとみ(長谷川体育施設)が「大きな金メダル」への自信を深めた。5日、布勢スプリント(鳥取・ヤマタスポーツパーク)で、向かい風0.4メートルの条件下ながら12秒75の大会記録で優勝した。代表に決まっている今秋の名古屋アジア大会へ弾みをつけた。
フィニッシュ後、心の底からは喜べなかった。雨上がりの決勝。12秒75は自己記録に100分の4秒まで迫る好タイム。でも目標設定はもっと上にあった。条件さえ整えば、12秒69(24年福部真子)の日本記録に届く自信があった。だからこそ、向かい風が少し恨めしかった。「そうですね、やっぱり(12秒)6秒台。追い風1(メートル)以上吹けば、6台は出るかなっていう風な手応えはあったので……『ああっ』っていう感じはありましたね」。素直な胸中を明かし、苦笑いした。
予選でも12秒83(追い風0.6メートル)とハイレベルな記録を並べた。午前10時半頃だった予選は「頭が動いてなかった」というが、約3時間半後の決勝までに12秒5台の自己ベストを持つ海外勢の動画をチェック。速いリズムを目と耳で確認し、「こういうリズムで行きたい」と自身が思い描くイメージと実際の動きをすり合わせた。
技術と感覚がかみ合い、走りの再現性は高まっている。「スピードと、踏み切りの頂点が今は合っている。少し前までは、頂点がずれてしまっていて、高く跳びすぎているように見えて、体がばらけてしまっていた。でも今は空中動作がすごくコンパクトになり、頂点が合うことによって、走りに繋げられている」とうなずく。初優勝した6月の日本選手権でも予選、準決勝、決勝と3本続けて12秒77を揃えた。高いレベルで安定する理由を、自分の言葉で説明できる。確かな裏付けが結果を導き、そして自信となっている。
しかも、日本選手権後は少し体調を崩していたという。「いろいろホッとした」という反動からか、喉の痛みや咳、鼻水などに悩まされ、体が「だる重い」状態が約2週間続いた。練習は継続していたものの、すっきりしない日々。それでも12秒75を出せる。「どんな条件であっても、私は12秒7台を出していくことがまずは大事」。簡単にパフォーマンスが崩れない土台がある。
7月13日に31歳の誕生日を迎えるハードラー。24年全日本実業団対抗選手権で日本女子7人目の12秒台となる12秒99をマーク。中島が「13秒の壁」を突破したのは2年前だ。積み重ねてきた経験を生かし、進化が急加速している。
「まだ殻を破れてないところはあるのですが、(12秒)7台をしっかり安定させるっていうのが目標だった。それで条件だったり、自分の体がいいところだったりで、12秒6台っていうのは、もう出るかなと思う。そこは時間の問題かなと思いながら、ちょっとウズウズしてます」
少しずつ階段を上りながら、新しい景色が見えそうな手応えがある。
代表に内定している名古屋アジア大会に向けては、「人生で一番大きな金メダルを取るというのを目標にしてます」と独特な言い回しで抱負を語った。「大きな」と表現したのは「日本よりもアジアが大きいので、そういう意味です。語彙力がなくてすみません」。そう愛嬌たっぷりに説明を付け足した。
陸上の魅力発信にも積極的で、テレビ番組にも出演するなど人気を集める。おしゃれなネイルを施すなど、トラック内外で個性を輝かせてきた。競技者としても、その存在感はますます大きくなっている。今季最大の目標となるアジア大会。最高の舞台で、人生で一番「大きな金メダル」を輝かせる。
(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)
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