「3連覇で一番うれしい」女子800m久保凛に号泣→復活の34日間 「もう無理」挫折から18歳を救った絆【陸上日本選手権】
今秋の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた陸上日本選手権第2日は13日、パロマ瑞穂スタジアムで行われた。女子800メートル日本記録保持者の18歳・久保凛(積水化学)が2分1秒54で3連覇を達成。アジア大会の派遣設定記録2分1秒67を突破し、代表に内定した。同種目の3連覇は04~06年の杉森美保以来、20年ぶりだった。

女子800メートル決勝
今秋の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねた陸上日本選手権第2日は13日、パロマ瑞穂スタジアムで行われた。女子800メートル日本記録保持者の18歳・久保凛(積水化学)が2分1秒54で3連覇を達成。アジア大会の派遣設定記録2分1秒67を突破し、代表に内定した。同種目の3連覇は04~06年の杉森美保以来、20年ぶりだった。
久保は万感の思いで言った。心の底からの笑顔で「3連覇の中で一番、うれしい優勝だと思います」と実感を込めた。レースは残り100メートルまで前方に位置しつつ、先頭の背中を見ながら走った。最後の直線で塩見綾乃(岩谷産業)とのデッドヒートを制した。重たくなる足を、腕を振って必死に動かした。出し尽くし、最後の最後にまくった。
思うように調子が上がらなかった時期を乗り越えた。実業団デビュー戦となった5月10日の木南記念は2分7秒40で7位に沈んだ。自身の持つ日本記録から8秒近く遅れ、号泣した。「もう無理やって思いかけて…心折れちゃった」と自信を失いかけた。
新たな仲間たちの支えが、復活の力となった。高校を卒業した今春から元男子800メートル日本記録保持者の横田真人氏が指導するチーム「TWO LAPS」に加入。その1人1人の存在が、前を向くエネルギーになった。ドライブに連れて行ってくれる人もいた。女子1万メートル日本記録保持者の新谷仁美とは部屋で話し込んだ。たくさんの「何気ない心遣い」で、重たかった心は少しずつ軽くなった。
「先輩たちは自分よりも、たくさんの経験をされてきた。自分よりもしんどい思いも、苦しい思いも、乗り越えてきているからこそ、やっぱり分かるものがあるんだろうなって思って。感謝の気持ちでいっぱいで…なんかもう、すごい最高のチームだなと思います」
最高の恩返しになるのは、結果だと分かっていた。出場予定だった試合スケジュールを変更し、5月30日の「TWO LAPS」が企画・運営を手がける大会「ミドルディスタンス・サーキット東京大会(MDC)」に照準を合わせた。「みんなに励ましてもらって元気になった。だからMDCは絶対に、成功させたいって気持ちだった」。MDCは2分2秒76で優勝した。周囲への感謝を練習のエネルギーに、調子を取り戻していった。
そして迎えた日本選手権。12日の予選は2分3秒09で通過した。満足の走りができなかったが、横田コーチから「練習は走れている。不安はいらない」と言われ、背中を押された。運命の決勝は、仲間への思いを胸に、出し尽くした。3連覇、そしてアジア大会の派遣設定記録も突破し、その切符を手にした。
涙にくれた木南記念からの34日間。仲間の助け、何より己の心と必死に闘って、失いかけた自信を取り戻した。もがきながら、向き合った経験を糧に久保は、強くなった。
(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)
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