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隠れていたフィギュア選手の生理問題 鈴木明子の告白「選手時代、私は間違っていた」【THE ANSWER Best of 2021】

東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は連載「THE ANSWER スペシャリスト論」から、フィギュアスケートの元五輪代表・鈴木明子さんが1月に語った「フィギュアスケート選手の生理問題」。

フィギュアスケート選手の生理問題について打ち明けた鈴木明子さん【写真:松橋晶子】
フィギュアスケート選手の生理問題について打ち明けた鈴木明子さん【写真:松橋晶子】

「THE ANSWER the Best Stories of 2021」 フィギュアスケート選手の生理問題

 東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は連載「THE ANSWER スペシャリスト論」から、フィギュアスケートの元五輪代表・鈴木明子さんが1月に語った「フィギュアスケート選手の生理問題」。


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 女性アスリートにとって切り離せない生理とフィギュア選手はどう向き合い、対応しているのか。これまで語られることが少なく、隠れていた問題。白の衣装には予備を用意したこと、シーズン中は生理が止まったこと。次世代の競技者の体を守るため、鈴木さんが自身の経験と「選手時代、私は間違っていた」という後悔を打ち明けた。(取材・構成=長島 恭子)

 ◇ ◇ ◇

 女性は誰もが一度は月経について考えさせられることがあるのではないでしょうか。

 常に体と向き合うアスリートも例外ではありません。フィギュア界に限らず、新体操やバレリーナなど、体の声に耳を傾ける暇なく鍛練を重ねる彼女たちの肉体が悲鳴を上げていることは長年、世の中の話題として提起されてきませんでした。

 幼少期、思春期から大人として成長するまで日々練習に打ち込むなか、成長に伴う体の声と変化に気がつかずに、ある日突然、摂食障害や月経不順に悩んでしまう。しかし、毎日のトレーニングメニューをこなすのが精いっぱいになるなど、周囲の空気や知識のなさから「悩む」まで行き着かないのが現状です。

 よくチームスポーツでは、選手同士で日常的に生理用品の貸し借りをしていた、という話も聞きます。でも、フィギュアスケートは個人のスポーツ。他の選手と情報交換をすることもなかったし、女性のコーチとも特に生理について話をすることもありませんでした。

 女性のコーチならではの気遣いを感じたのは、大学卒業後に邦和スケートクラブに所属したときです。新しいプログラムの衣装について打ち合わせをしている際、「このプログラムなら絶対に白の衣装がいいよね。でも、試合日に生理があたる場合もあるから、考えないとね」という話を初めてされました。シニアの大きな試合になると、会場にテレビや報道のカメラが入ることもありますし、実際、タイツに経血が染み出すケースもある。これは私に限らず、衣装が淡い色になった場合、必ず予備として、濃い色の衣装も用意していました。

 私が初潮を迎えたのは、15歳のときです。まったくよくない話ですが、全然、嬉しくなかったことを覚えています。

 初潮を迎えると体が変わることは、周りの選手を見ていたのでわかっていました。太り始めたり、体の動きが悪くなったり、跳べていたジャンプが跳べなくなったり。今までとは違う感覚になり、伸び悩んだり、ケガをよくしたりする選手もいた。ですから、お赤飯を炊いて祝う出来事なのに、「あぁ、来ちゃった。私も難しくなるんだ、これから……」という気持ちでいっぱいでした。

 幸い、生理が来るようになってからも、大きな体型の変化はありませんでした。私はもともと食が細く、練習で追い込むとすぐ疲れてしまうタイプだったんですね。それが、初潮を迎えてからは、「もっと食べたい!」という感覚が芽生え、むしろ人並みにしっかり食べられるようになり、バテなくなった。体重も、身長が伸びた分、増えるぐらいで、「わ、太った!」とか「丸みをおびたな」ということにはなりませんでした。

 もちろん、毎日、食事を作ってくれた母も気を付けてくれていたし、自分も食べすぎないよう、どこかでストッパーをかけていました。当時、すでに「競技者として上に行きたい」と考えてもいたので、やっぱり「太るかもしれない」という恐怖心を抱えていたのだと思います。

 ただ、15歳からずっと、生理は不規則でした。いつ生理になるかわからなかったので、競技をするうえでも本当に大変でしたね。だからといって、婦人科でみてもらうことまではしなかったし、大学に入るまではずっと自然に任せていました。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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