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1か月で解雇されても「もう1回行きたい」 海外で激変、又吉克樹の野球観…日本には「縛りがあった」

サイドスローのフォームを日々進化させる又吉【写真:羽鳥慶太】
サイドスローのフォームを日々進化させる又吉【写真:羽鳥慶太】

「何が申し訳ないんだ?」打たれたときの態度に衝撃

 投手コーチやメンタルコーチにも「何をしようとか考え過ぎず、できることをマウンドで表現してくれればいい」と言われた。すると、まず「抑えなければ」と考えるのではなく、サインが出たときに「俺はこれをするだけだ」と集中できるようになったのだという。そうして他の投手を見ると、日本の選手とは心の持ちようが全く違っていた。

「打たれて『申し訳ない』という感じで帰ってきたら『何が申し訳ないんだ?』『やれることはやれたんだろ』と言われたんです。その辺からですかね。自分がやれることに集中する方が、マウンドでいい結果につながるなと思えるようになれたのは。周りがみんな、打たれても『俺は今日、球がしっかり投げられたからな』という感じ。そういう感覚って大切やなと思わされました」

 ただ、シビアな現実も味わった。オープン戦3試合で防御率2.25という好成績を残しながら解雇される際に伝えられたのは、今季の投手陣を150キロ中盤から後半を投げられる投手で固めたいというチーム方針だった。「実際に、僕と同じようなスピードのタイプはごっそり切られたんです」という状況でかけられた言葉も、渡った時と同様に意外なものだった。

「メキシコから帰るとき、オーナーに『野球はすごく楽しいものだと思って帰ってほしい』と言われたんです。クビになってるのにですよ。『お前が日本でやってきたキャリアも、日本人がどういうメンタリティで野球に向き合っているのか、職人気質なのもわかるよ』と。ただ野球はまず、楽しいものだと。これは響きましたね」

 新天地に選んだオイシックスでは、イラン情勢悪化の影響で、自分のユニホームがなかなか届かないなどのハプニングはあったが、火消し役としてチームに貢献している。

「メキシコで得られた感覚と、自分が求めているピッチングがうまいことフィットしてるかなと思います。僕の場合、ストライク・ボールのばらつきがある時はありますけど、そこに引っ張られないでやれています。『これはもう審判の仕事。僕はやることをやる』と」

 以前なら微妙なコースにボールが行った時、審判と自分のジャッジが合わないと、精神的に揺れてしまうこともあった。メキシコの経験で、自分ができることだけにフォーカスするという癖がついたのだという。「もう少しこっち側に投げないと……と考えるのではなく、自分がやることはサインに対して投げることなので」。マウンドでの重しを1つ、下ろせたのだ。

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