戦力外通告後に決めた100万円の自己投資 2軍球団から再起の小林珠維、ド軍剛腕と出会い変わった“思考”
プロ野球の2軍イースタン・リーグに参加するオイシックスに、投打二刀流を断念した末に投手一本での再起を期す右腕がいる。小林珠維投手はこのオフ、5年間在籍したソフトバンクから2度目の戦力外通告を受けた。ただ、新天地への移籍が決まると100万円を超える自己投資を決めアメリカへ。ドジャースの剛腕とトレーニングをともにするなどして、考え方が大きく変わったという。

「躊躇がなかったと言えばウソ」戦力外経て100万円の投資を決断
プロ野球の2軍イースタン・リーグに参加するオイシックスに、投打二刀流を断念した末に投手一本での再起を期す右腕がいる。小林珠維投手はこのオフ、5年間在籍したソフトバンクから2度目の戦力外通告を受けた。ただ、新天地への移籍が決まると100万円を超える自己投資を決めアメリカへ。ドジャースの剛腕とトレーニングをともにするなどして、考え方が大きく変わったという。
野手→二刀流→投手と、何とも変わったキャリアを経てきた。23歳の小林珠は2019年のドラフトでソフトバンクの4位指名を受け入団。北海道・東海大札幌高時代は投手と一塁手を兼任していたが、まずは強打を買われて内野手として登録された。ただ1軍昇格のないまま、22年オフに戦力外通告。翌年は育成選手となり、投打二刀流に挑戦した。
23年は3軍、4軍を主戦場に、投手としては防御率3.31、打者としては打率.260を残した。24年は投手に専念し、2軍戦2試合に投げたものの防御率6.00。オフには2度目の戦力外通告を受けた。4軍制を敷き、選手層がとにかく厚いソフトバンクには、毎年のように好素材が入団してくる。その中でのチャンスはまさに一瞬。つかむ難しさをいやというほど味わった。
「いろんな思いがありますけど、ここにいても難しいのかなとは思っていました。1軍選手が2軍の先発ローテーションにもどんどん入ってくる。もし出場機会があれば……とは、ずっと考えていたところです」
だから戦力外となっても、現役続行はすぐに決めた。12球団合同トライアウトで2三振を奪う好投を披露し、新天地はオイシックスに決まった。その時、すぐに決断したことがある。初めて米国に渡っての自主トレだ。費用は100万円を超える。
「躊躇がなかったと言えばウソになりますけど、成功して帰ってくればこれも自己投資ということになる。これまで、まあまあの自主トレしか正直してこられなかったので……」
ソフトバンクの先輩、武田翔太投手に「野球人生、どこかで自己投資しないと自分のものにならないよ」といわれたのも決断を後押しした。1月に米ノースカロライナ州シャーロットの「トレッド・アスレチックス」で武田と現地集合。2週間半に及ぶ自主トレーニングをこなした。施設にはドジャースの剛腕タイラー・グラスノー投手や、レンジャーズで2023年に12勝を挙げたデーン・ダニング投手がいた。見て学び、聞いて学ぶ。最高の環境だった。