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きっかけは5年前の“苦い記憶” 女子ラグビー元日本代表がフランス挑戦を決意した理由

フランス語を学ぶため朝9時から大学に通い勉強に励んでいる【写真:本人提供】
フランス語を学ぶため朝9時から大学に通い勉強に励んでいる【写真:本人提供】

大学でフランス語を勉強、練習は週3日

 英国系の国とは一線を画して、強化とラグビー文化を築いてきたフランス。なかでもスペイン国境のピレネー山脈も近い南西部一体は、国内有数のラグビー地帯と言われてきた。同地域最大の都市トゥールーズ、隣接するコロミエはもちろん、ビアリッツ、バイヨンヌ、ペルピニャンなど強豪・伝統クラブが林立するエリアに、古都ポーもある。

「雰囲気的にも、ある程度田舎でちょうどいいなという感じです。都会にも出られるし、すぐにもっと自然豊かなところにも行けるような町です。あまり都会が好きじゃない私には、心地いいんですよ」

 町の賑わいを「辛うじてZARAがあるくらい」と女子らしい形容をした冨田は、「ゆっくりと時間が過ぎていくような町です」と、1シーズン過ごしたポーでの生活に満足している。トゥールーズまでも、スペイン・バスク地方の“美食の都”サン・セバスチャンまでも車で2時間という距離だ。

 希望していたフランス上位クラブからの入団条件は満足のいくものではなかった。そのため、下位チームながら熱心に誘ってくれたポーを選んだが、この町でのプレーを決めたのには、もう一つの理由がある。

「近くにフランス語を勉強できる大学があったことです。語学学校ではなく大学で勉強したかった。授業は全部フランス語でやるんですけど、政府が認める語学レベルのテストの認可が取れる大学がなかなか少ないんです。そこでマッチしたのがポーでした」

 生活は至って質素だ。

「基本的にはフランス語を学ぶ学生をしています。朝起きて7時から1時間半はジムセッション。その後、9時から学校に行って5時間勉強です。練習は火・水・金曜日で、午後7時から1時間半。9時くらいに食事して寝るような生活です」

 まさに学生時代のような生活だが、新しい環境で一からの挑戦を求めた冨田の旅にはふさわしいのかもしれない。練習のない月曜、木曜日がラグビーでのオフと呼べる日だが、自由な時間はあまりないという。

「だいたい試合が日曜日にあるので、アウェーだと場所によっては終わってバスで移動すると月曜日の午前2時くらいに帰るんです。なので、月曜日は本当に『疲れたぁ』で1日終わってしまう。木曜日だけがオアシスみたいな感じですかね。結構バタバタというか、あっという間に1週間が経ってしまう」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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