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「カッコつけていた」19歳のジブン 高木美帆がソチ五輪落選を「挫折ではない」と断言する理由

五輪4大会に出場、日本女子最多となる10個のメダルを手にした【写真:松尾/アフロスポーツ】
五輪4大会に出場、日本女子最多となる10個のメダルを手にした【写真:松尾/アフロスポーツ】

悩んでいることを文字にすると、頭のなかが不思議と整理される

《気持ちを切り替えて、痛みを克服するには時間を要するものだ。その後の大会においても、すぐに結果に表れたわけではない。自信をなくせば負のスパイラルに陥る危険性だってある。しかし彼女は、ひたむきに真摯に、競技に取り組もうとした》

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 選考会で負けた後もインカレなど大会が続いていたので、落ち込む暇などありませんでした。次のシーズン(2014~15年)も確か過去イチくらいで悪い成績だったと記憶しています。ただその時期、信頼を置ける人との会話を特に大切にしていました。おかげで自分はここに悩んでいるのか、と気づくことができました。

 明日のレースではこういうことをする、と決めたことを自分のなかだけにとどめるのではなく、その人にわざわざ宣言するようにしたんです。例えばスタートの一歩目にこだわるとか、コーナーへの入り方とか(レース全体的には)上手くいかなくとも、それだけは必ず実行しました。

 なぜそうしようと思ったのかまでは覚えていませんが、上手くいかなかったらその人にも分かる。そうなると失敗を恐れなくなっていきました。失敗することがカッコ悪いだなんて思わなくなった。今日はできた、今日はできなかったと、決めたことに対して向き合っていく1年間でしたね。結果に対して良い悪いの評価をするのではなく、やると決めたことに対してできたか、できなかったかの評価。そうしたことによってメンタルも保てたのかなとは思います。

《信頼を置く他者の視点や存在にも頼りながら「今やるべきこと」に目を向けた。焦らず、一つひとつを積み上げて。忍耐と苦悩のもがき続けた日々だったが、己を見失うことは決してなかった》

 自分でも何をやっているんだろうって思った時はありますし、その都度自問自答していました。別に対処法でもないのですが、悩んでいることをノートに書いて文字にしてみると頭のなかが不思議と整理されるんです。それも私の場合は、信頼する周りの誰かにLINEでメッセージを送ります。この表現だと伝わらないなと思って相手に伝わるように細部まで説明しているうちに、じゃあこうすればいいのかなとか、自分はどうしたいのかなとか答えみたいなものが見えてくる時がある。強くなりたいと思っているんだったら、やるしかないでしょっていう気持ちにもなる。送った相手から『なんか解決したみたいだね』と、あきれられたことも何度かあります(笑)。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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