部活のバス移動、責任は誰にあるか 米国でも過去に…「高校生死亡事故」から考える“安全コスト”
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活動の移動問題」。

「Sports From USA」――今回は「部活動の移動問題」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活動の移動問題」。
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今年の5月、福島県郡山市で、新潟市の高校男子ソフトテニス部員らを乗せたマイクロバスがガードレールなどに衝突し、男子生徒1人が死亡、けがをした人も多数出た。交通事故のリスクは誰にでもあるとはいえ、バスや運転手の手配の経緯には解明すべき点があり、リスクを抑えるという安全意識が乏しかったといわざるを得ないだろう。
子どものスポーツ活動に伴う移動を誰が手配し、誰が費用を負担し、事故が起きたときに誰が責任を負うのか。アメリカの大学、高校の運動部活動は試合の機会が多く、広い国土を移動する。日本と同じように、安全を最優先にしながら、移動にかかるコストを抑えるという難題を抱えている。2000年代はじめに頻発した大学運動部の事故、高校運動部の移動とコスト、そして学校外の活動の三つにわけてレポートしたい。
まず、頭に浮かんだのは、アメリカで1990年代後半から2000年代にかけて、大学運動部の移動中の事故が繰り返し起こっていたことだ。米スポーツ専門局ESPNは事故に焦点をあてたドキュメント番組を放送し、さらに、2001年4月の電子版で「過去15か月で大学アスリートが巻き込まれたり、関わったりしたバンの事故が10件発生している」と報じていた。ここでのバンは15人乗りのバンであり、大学スポーツの移動ではよく使われてきた。バスをチャーターするよりも費用が抑えられるからで、運動部の資金が乏しい小規模大学では使われることが多かった。この10件の事故の多くは、コーチまたは学生が運転し、深夜や悪天候のなかで長距離を移動していた。もともと15人乗りのバンは満員に近い状態になると横転のリスクが高まることも指摘された。
NCAA(全米大学体育協会)が2002年に発表した資料には、D3(小規模校が多く含まれるディビジョン)の運動部管理者の80%が15人乗りバンを使い、D3の管理者全員が過去に12人乗りか15人乗りバンを使っていたと回答した。また、2005年の調査でも、23%がレンタカー会社からバンを借りていたとしている。NCAAは、これらの移動の責任は各大学にあるとした。
こういった事故を受けて、次第に15人乗りバンの使用を禁止する大学が出てきた。15人乗りバンを使用する場合でも、運転資格の厳格化、人数制限、移動距離制限や深夜の移動制限などの条件をつけている。今でもコーチや学生が運転することはあるが、15人乗りバンの運転講習を受けたり、商用免許を取得したりして対応している。その後、大学運動部の移動時の交通事故が減ったかどうかという統計資料は見つけられなかったが、15人乗りバンの事故そのものは減少していることが統計からみてとれた。
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