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競泳ニッポン「新世代」が躍動も…浮き彫りになった男女の“温度差” 女子苦戦の裏に深刻な課題

女子の低迷には、選手数の減少も

「新世代」のモデル5人のうち、唯一女子の成田は400メートル個人メドレーで実力通りの優勝は果たした。しかし、他の10代で目立った選手は男子に比べて少なかった。35歳の鈴木聡美が平泳ぎ3冠を達成、25歳の池江璃花子は3種目で優勝した。ベテラン勢の活躍は素晴らしいが、若手の伸びは今ひとつにみえた。

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 男子の日本記録は、個人17種目のうち11種目が20年代に入ってから更新されている。しかし、女子の更新は20年代に入ってから23年の鈴木と今大会の梶本の2回だけ。従来の記録レベルが高いともいえるが、停滞している間に世界との差は広がる一方なのだ。

 倉沢利彰競泳委員長も「水泳ニッポン復活へ、いいスタートだといえる」と大会を総括した。大橋ら「新世代」の躍進にも手ごたえを口にしたが、女子の話になると厳しい表情。「弱点の種目を引き上げていかないと」と話した。

 女子の低迷には、選手数の減少もある。全国高体連の資料によれば、03年の競泳女子の高校の選手数は1万3134人。それが22年後の昨年は9197人まで減った。少子化で程度の差こそあれ他競技でも減少傾向はあるが、男子は1万6158人が1万6389人と変わっていないのだから女子の「競泳離れ」は深刻だ。

 倉沢委員長によれば、女子は今の小学5年生はレベルが高いという。ただ、彼女たちが順調に伸びてくるかは分からない。同委員長が「いい素材を脱落しないように上まで引き上げたい」と話したように、選択肢が広がる中で競技を続けたくなるような競泳界にしていく必要もある。

 日本競泳チームが大事にする「一体感」は、全員が同じ目標を持ってこそ実現する。五輪で過去最多11個のメダルを獲得した12年ロンドン大会は、チーム全員が「メダル狙い」だった。結果として男子6人、女子5人がメダルを持ち帰った。男女がともに強かったから「史上最強のチーム」で戦えたのだ。

 今大会の男子選手からは「五輪の金メダル」を意識した発言が相次いだ。具体的な目標や五輪までの青写真を口にする選手も多かったように思う。「新世代」の台頭で世界選手権のメダルを持つ自由形の松元克央や平泳ぎの渡辺一平らベテラン勢も五輪メダルへの思いを強くしていた。

 一方で女子は明確な目標を口にする選手は限られていたような気がする。記録も出ないから、取材エリアで止められる選手も男子に比べて少なかった。もちろん、平泳ぎの鈴木のように「パンパシフィック選手権で自己ベスト、アジア大会で日本新」など具体的な話をする選手もいたが、好タイムの勢いに乗って「五輪メダル」を口にする「新世代」は多くはなかった。

 男女の間に温度差があっては、チームに一体感は生まれにくい。男子の好成績に刺激されて女子が伸びるのか、少数精鋭を徹底して「メダル狙い」の選手だけでチームを組むのか、それとも実力差、大会に臨む温度差がある中で一体感を生む方法があるのか。

 近年の日本競泳陣を見ても、2月のミラノ・コルティナ冬季五輪を見ても「チームの一体感」は好成績を生むカギであるのは間違いない。倉沢委員長も「しっかりチーム作りをやりたい」と話した。「新世代」の活躍で水泳ニッポンの復活が現実味を帯びてきたからこそ、再び一体となった「トビウオジャパン」が見たい。

 以下、第101回日本選手権で樹立された日本新記録。

男子50メートルバタフライ 光永翔音(20=中大2年)     23秒06※
男子100メートル平泳ぎ 大橋信(17=四条畷学園高2年)  58秒67
男子800メートル自由形 今福和志(18=四条畷学園高3年) 7分47秒81
女子800メートル自由形 梶本一花(22=同志社大4年)   8分23秒11
男子1500メートル自由形 田渕海斗(23=尼崎SS)     14分45秒57

※はタイ記録

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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