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強豪の誘い断り…異例の2部挑戦 ラグビー界サプライズ人事、大学日本一「八幡山のタイソン」の決断

夢は釜石から日本代表「置かれた環境で、言い訳せずに頑張っていきたい」

 多くの大学有望選手がプロ契約を希望する時代だ。太尊もプロ契約という選択肢もあったはずだが、日本製鉄社員としての挑戦を選んだ。

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「まだ大学生なので、プロでやるか会社員としてプレーするか、やってみないとわからないところもありました。正直不安もありましたし、将来を考えた時に社員でやったほうがいいのかなと思って話を進めたんです。なので、日本製鉄という企業で仕事が出来るというのは大きな判断材料でした」

 先にも触れたように、太尊のサイズで身長190cmを超える選手も居並ぶリーグワンのFW3列でトップ選手に登り詰めるのは容易なことではないが、そこに挑戦するポテンシャルは秘めている。本人もチームも、今は釜石で長くプレーすることを念頭に置いているはずだが、もし太尊がチームで、そしてディビジョン2で明治大同様の活躍が出来れば、プロ契約やさらに上のステージでの挑戦という新たな選択肢も出てくるだろう。

 太尊自身は3月中にはチームに合流して、アーリーエントリーも踏まえて釜石での実戦デビューを目指すという。その一方で、日本代表というもう一つの挑戦については、こんな思いを語っている。

「ラグビーをやっている以上は、日本代表でやりたいという思いはあります。代表を目指してずっとラグビーをしてきましたから」

 テストラグビーへの挑戦を考えると、ディビジョン1チームのような、より高いレベルのチームで挑戦するべきだという声もあるが、太尊はこんな考えを話している。

「やはりディビジョン1のほうが、環境としては日本代表になるには近いのかなと思いました。でも、どのカテゴリにいても、やはりなるべき人は選ばれると思います。自分の置かれた環境で、言い訳せずに頑張っていきたい」

 釜石から目指す桜のジャージー。この挑戦は、太尊個人だけではなく、チーム、そして釜石を中心とした東北のラグビー関係者の悲願でもある。生え抜き選手では釜石最後のキャップホルダーでもある59歳の桜庭GMも、このルーキーの日本代表への挑戦に期待を込める。

「是非そこを目指してもらいたい。そういうポテンシャルはあると思いますし、チームだけじゃなく代表というカテゴリーで輝いてほしい」

 代表を狙える位置に立つ選手の入団がチームにどんな化学変化をもたらすかも、このバックロー獲得の大きな価値でもある。東北で生まれ、自身「東北に育てられた」と明言する大学日本一FLが、北の鉄人完全復活へ走り出す。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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