ボクシング未経験の会長が11年目で掴んだ夢 亡き“弟分”とともに…ついに輩出した初の世界王者
ボクシングのIBF世界ライトフライ級王座決定戦12回戦が19日、東京・大田区総合体育館で行われ、同級2位タノンサック・シムシー(タイ、グリーンツダ)が同級1位クリスチャン・アラネタ(フィリピン)に2-1(116-111、115-112、113-114)で判定勝ち。5年前の悲嘆からようやく実現した世界初挑戦で、念願のベルトを獲得した。ボクシング未経験の本石昌也会長にとっても、亡き弟分とともに追いかけた夢が叶った。戦績は25歳のシムシーが39勝(34KO)1敗、30歳のアラネタが25勝(20KO)3敗。

タノンサック・シムシーがIBF世界ライトフライ級王座獲得
ボクシングのIBF世界ライトフライ級王座決定戦12回戦が19日、東京・大田区総合体育館で行われ、同級2位タノンサック・シムシー(タイ、グリーンツダ)が同級1位クリスチャン・アラネタ(フィリピン)に2-1(116-111、115-112、113-114)で判定勝ち。5年前の悲嘆からようやく実現した世界初挑戦で、念願のベルトを獲得した。ボクシング未経験の本石昌也会長にとっても、亡き弟分とともに追いかけた夢が叶った。戦績は25歳のシムシーが39勝(34KO)1敗、30歳のアラネタが25勝(20KO)3敗。
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レフェリーに左腕を掲げられたシムシーは、天を見上げて感極まった。リング上でマイクを握ると「やりました! ありがとうございます!」と感謝の絶叫。その先にいた本石会長は、2019年から「契約外国人選手」として所属する愛弟子をがっしりと抱きしめ、「チャンピオン、チャンピオン」と称えた。2人にとって、グリーンツダジムにとって、ようやく辿り着いた歓喜の瞬間だった。
2020年11月。大阪市内のホテルでシムシーは泣き崩れた。当時のWBA同級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ)への挑戦前日。計量を終え、食事をしている最中に悲報が舞い込んだ。京口の新型コロナ感染が発覚。初の世界戦が直前で幻となった。不可抗力だとわかっていても、簡単には受け止めきれない。「もう立っていられないぐらい、彼はすごくショックを受けていた」と本石会長は回顧する。
直後に進んでいた世界挑戦の話も流れてしまい、完全に白紙の状態に。いつまたチャンスが訪れるかわからない。だが、1ミリも夢を諦めることはなかった。「何年かかっても必ず俺らは世界の舞台に立とう」。陣営で常に励まし合い、ようやく辿り着いた世界戦。「何よりもタノンサックが夢に向かって諦めずに頑張ってくれた。今日がその結果」。本石会長は誇らしげに頷いた。
タイ出身のシムシーは、農業を営む両親のもと、5人きょうだいの次男として誕生。家族7人が1か月1万円で生活するという貧しい環境で育ち、「家族を幸せにしたい」と格闘技を始めた。「実は2日ほど前に祖母が亡くなった。今回は祖母に捧げるための勝利でもあったので、本当に嬉しかった」。悲しみを乗り越えて立った異国のリング。3回に1度ダウンを喫しながらも激闘を制し、天を仰いだ。