野性味爆発でダウン3度の衝撃TKO 活況バンタム級で蚊帳の外…武居由樹が天心戦で味わった悔しさ
ボクシングのWBO世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が28日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、王者・武居由樹(大橋)が同級8位ユッタポン・トンデイ(タイ)に初回2分7秒TKO勝ちした。自身の負傷で延期された試合で2度目の防衛成功。一度は失った「野性味」を爆発させ、群雄割拠の同級で強烈な存在感を見せた。戦績は28歳の武居が11勝(9KO)、31歳のユッタポンが15勝(9KO)1敗。観衆は4000人。(文=THE ANSWER編集部・澤田 直人)

武居由樹が2度目の防衛に成功
ボクシングのWBO世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が28日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、王者・武居由樹(大橋)が同級8位ユッタポン・トンデイ(タイ)に初回2分7秒TKO勝ちした。自身の負傷で延期された試合で2度目の防衛成功。一度は失った「野性味」を爆発させ、群雄割拠の同級で強烈な存在感を見せた。戦績は28歳の武居が11勝(9KO)、31歳のユッタポンが15勝(9KO)1敗。観衆は4000人。(文=THE ANSWER編集部・澤田 直人)
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獰猛な武居が帰ってきた。
開始わずか50秒ほど。いきなり左ストレートを突き刺し、ダウン経験のないユッタポンに尻もちをつかせた。再開直後も左フックでぶっ倒すと、続けざまに連打で3度目のダウン。「このラウンドで倒しきる」。再開後も左右の拳を打ち付け、レフェリーストップを呼び込んだ。
電光石火の127秒TKO勝ちに客席から「早すぎー!」の声。衝撃のダウン祭りを演じた王者は苦笑いで会釈した。「少しは野生味を取り戻せたかな」。傷のない顔は涼しげだ。
日本人を中心に盛り上がりを見せるバンタム級。ただ、武居は一人、ブレーキを掛けられた。昨年12月に右肩関節唇損傷。「激痛で動かせなくなった。何分か置いたけど動かせない」。全治は4週間。麻酔などの治療は実らず、断裂の可能性もあった。「左手だけでもやる」と陣営に志願したが、今年1月に予定されたユッタポン戦は延期に。右腕を吊るし、各所に謝罪して回った。
回復が遅れる懸念から手術を回避。運転や風呂掃除で不意に腕を伸ばすと、激痛が走った。左のパンチやステップワークを徹底的に磨くしかなかった。
バンタム級で“蚊帳の外”を痛感したのは2月24日。WBC王者・中谷潤人(M.T)とWBA王者・堤聖也(角海老宝石)がド派手な試合で有明アリーナを沸かせた。自身が標的に挙げていた那須川天心(帝拳)も激闘。生観戦で戦いぶりを目に焼き付けた。
「リング下にいる自分が悔しい」