女子ゴルフ岩井千怜が世界最高峰ツアーで初V 双子の姉・明愛も2位2度…米1年目から活躍できる理由を考察 ポイントは「自然体」
米女子ゴルフツアーの新規大会、メキシコ・リビエラ・マヤオープン最終日が現地時間25日、エル・カマレオンGC(6583ヤード、パー72)で行われ、22歳の岩井千怜(Honda)が通算12アンダーで同ツアー初優勝を飾った。1打差2位でスタートし、出だしの6ホールで5つのバーディーを奪う爆発力を見せた。7バーディー、1ボギーの66で回り、2位に6打差をつける圧勝劇。双子の姉・岩井明愛(Honda)も既に2度2位に入るなど、姉妹はルーキーイヤーながら、この世界最高峰ツアーで存在感を示している。環境が変わってもなぜ、2人は力を発揮できるのか。その理由を考察した。(取材・文=柳田 通斉)

世界に通用する「あるがまま」のプレースタイル 幼少から指導するコーチも喜び
米女子ゴルフツアーの新規大会、メキシコ・リビエラ・マヤオープン最終日が現地時間25日、エル・カマレオンGC(6583ヤード、パー72)で行われ、22歳の岩井千怜(Honda)が通算12アンダーで同ツアー初優勝を飾った。1打差2位でスタートし、出だしの6ホールで5つのバーディーを奪う爆発力を見せた。7バーディー、1ボギーの66で回り、2位に6打差をつける圧勝劇。双子の姉・岩井明愛(Honda)も既に2度2位に入るなど、姉妹はルーキーイヤーながら、この世界最高峰ツアーで存在感を示している。環境が変わってもなぜ、2人は力を発揮できるのか。その理由を考察した。(取材・文=柳田 通斉)
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これまで多くのプロが海を渡り、米ツアーに挑戦してきた。樋口久子は全米女子プロを制し、岡本綾子は賞金女王、宮里藍は世界ランキング1位になった。一方で、言葉の壁、環境の変化、芝の違いに対応できず、実力を発揮できなかったプロも少なくない。だが、岩井姉妹はルーキーイヤーの前半から結果を出している。なぜなのか? 本人たちと周辺から聞いた話を総合すると、そろって「自然体」であるからだと感じている。
例えば昨秋、2人が米ツアー挑戦を発表した際、2人に近い人物と話した時だ。私が「QS(ツアー最終予選会)のコースも日本とは芝が違うから、対応が大変ですね」と問いかけると、「いや、そんなことはないです。本人たちは全く気にしていないし、芝の違いも詳しくは分かっていないですから」と即答された。
驚いた。米国でゴルフ取材すると、「ポアナ芝のグリーンは、とにかくグリーン上でボールがポコポコと跳ねてショートパットが難しい」「芝が太いバミューダ芝では、強く打つ必要があってアプローチのスピンコントロールが難しい」などの悩みをよく聞いていたからだ。
2人はクラブについても「自然体」だ。海外メジャー・全英女子オープンではリンクスの硬いフェアウェーも経験しているが、ヘッドやシャフトの調整をすることもなく本番に臨んでいた。細かいことは気にせず、あるがまま、そのままでプレーするのがスタイル。姉妹を幼少から指導してきた永井哲二コーチも言った。
「2人は日々努力をしてきて、日本で結果を残して、米ツアーに挑戦すると決めた時から『今の力でどこまでやれるのか』という思いでいました。だから、細かいことは考えなかったんでしょうね。そして、ツアーで転戦する中でも芝生の種類ではなく、『このコースのここから寄せるためには』と思いながらプレーしている。今季は初めて回るコースが多いでしょうし、一つひとつの挑戦を楽しんでいることだと思います」
「どこまでやれるのか」の点では、千怜は早い段階から手応えをつかんでいた。4月13日、帰国して出場した富士フイルム・スタジオアリス女子オープンの最終日。ラウンドを終えると「この後はしばらくアメリカでの試合になります。向こうで学んで得ることも多いのですが、日本でやってきたことを出していけば、通用すると感じています」などと話した。その時点で今季米ツアー出場3試合だったが、既に確固たる自信を持っていた。