連載「Athlete Life in Japan」――第2回Bリーグ千葉Jマイケル・オウ

　いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国の適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第2回はバスケットボールBリーグの千葉ジェッツに今季加入した中国出身のマイケル・オウ。後編では日本での私生活について。中国より高いあるサービスの料金に、数少ない不便を感じているという。（前後編の後編）

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　昨年8月に来日したばかりの頃、コート上で飛び交う日本語が理解できずに苦悩したオウ。しかし、意外にも私生活ではそれほど言葉の壁に悩まされることはなかった。「漢字が読めるから、外出しても書いてあることが理解できるんだ」。もちろん日本と中国で違いはあるが、共通点も多い。おかげでスーパーでの買い出しも難なくこなせる。話すことはできないが、翻訳機が助けてくれる。

　困ったことがあるとすれば、シャワールームが小さいこと。身長208センチ、体重110キロのセンターは「いつも頭をぶつけるんだ」と笑う。「僕は身長が高すぎるんだ。（207センチの）ディー・ジェイ（ホグ）や他のチームメートも同じ問題を抱えていると思うよ」。他に不便を感じることがあるか聞くと、あまり思いつかないようで20秒ほど思案した後、配車サービスの金額を挙げた。

「ここ（千葉県八千代市の練習施設ロックアイスベース）から東京までだと30マイル（約48キロ）ぐらい？　中国だったら20ドル（約2860円）、高くても25ドル（約3580円）ほどで行けると思う。日本だと30マイルだと150ドル（2万1500円）ぐらいするよね。5倍以上高いんだ」

　庶民的な悩みをはにかみながら明かすオウにとって、フードデリバリーサービスの配達料も数少ない不満の1つ。「たまに外食もしたくないし、自炊もしたくない時があって頼むんだけど、かなり浪費した気分になる」。単身生活の中でよく作るのはチャーハンやラーメン、時には鶏料理やステーキなども。キッチンに向かう気力がない時は、近くのコンビニで弁当やサンドイッチを調達することもある。

　日本で便利だと感じているのが交通系ICカードの「Suica」だ。「電車に乗る時も、コンビニで買い物する時も、Suicaにお金を入れておけばどこでも使える」。中国でも「Alipay」などのスマホ決済サービスが普及しているが、Suicaの使い勝手が気に入っているという。初めての来日から約8か月。余裕ある口ぶりからは、異国での生活に馴染みつつある雰囲気を感じた。

■マイケル・オウ（Michael Ou）

　1999年3月7日生まれ。中国・江門市出身。13歳でバスケットボールを始める。16歳から渡米し、メナウル高に進学。全米体育協会（NCAA）1部のカリフォルニア州立大ノースリッジ校で2季プレーし、2020年に中国トッププロリーグCBAの上海シャークスに入団。同リーグで4季過ごした後、2024年にBリーグの千葉ジェッツにアジア特別枠として移籍した。身長208センチ、体重110キロ。ポジションはセンター。