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Jリーグ暴言問題に見る日本人の“鈍感さ” 「意図はなかった」は世界で通用しない

Jリーグの調査のぬるさ、危機管理の甘さ…「疑わしきは罰せず」裁定

 だが肝心なのは、発言者の意図などではなく、受け取る側の心情だ。差別的侮辱と受け取る可能性のある人物の間近での言動を、「あなたに向けたものではない」などという理屈は、とりわけ国際社会では通用しない。

 そもそも精神的苦痛を味わった被害者の前で「そんなつもりはなかった」「興奮してつい」などという弁解が、容認されるものなのかを、機構やクラブは徹底して教育していく必要がある。森脇に対して2試合の出場停止処分が発表された後、鹿島の小笠原が指摘したように、Jリーグの調査のぬるさ、危機管理の甘さは、まったく国際基準から乖離していると言わざるを得ない。

 今、フットボールの世界では、日常的に「人種差別反対」宣言が繰り返されている。FIFAが最優先で撲滅を図る重要課題である。Jリーグも同様に真摯に取り組もうとするなら、これほどあっさりとした「疑わしきは罰せず」裁定は、導けないはずである。

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe



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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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