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Jリーグ暴言問題に見る日本人の“鈍感さ” 「意図はなかった」は世界で通用しない

いつでも差別する側は鈍感…埼スタに掲げた「JAPANESE ONLY」の横断幕

 その後、柏レイソルで頭角を現すと、2007年に日本に帰化し、翌年の北京オリンピックの舞台に立つ。09年夏に移籍したサンフレッチェ広島で得点感覚にさらに磨きをかけると、日本代表の一員として出場した11年カタール・アジアカップ決勝では、オーストラリアを相手に延長戦で劇的な決勝ゴール。情熱を込めたプレーぶりで多くの人の共感を引き寄せた。

 ただし、日の丸をつけて重責を担うのは李だけではない。家族や親戚も、時には心ない中傷を受けながら、ともに戦い支え続けた。それだけに浦和サポーターが、2014年に埼玉スタジアムで掲げた「JAPANESE ONLY」の横断幕が、そのシーズンに浦和に加入した李の家族の傷をどこまで抉ったか、心中察して余りある。

 いつでも差別する側は、この問題に鈍感だ。世界を一人旅で回ってみれば、日本人も至るところで差別されていることが判る。

 4日に行われたJ1リーグでは、浦和の森脇良太の暴言が物議を醸した。鹿島アントラーズとの試合中に、両チームの選手が判定を巡ってヒートアップした際、鹿島の選手に向かって「口が臭い」と発言。これを小笠原満男は同僚のブラジル人MFレオ・シルバに向けた言葉としたが、森脇自身は口論となった小笠原に向けたものであり、そこに「差別の意図はなかった」と主張した。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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