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日本代表に「ヒロセのような存在が必要だ」 W杯から再出発、世界のラグビーから読み解く今の潮流――エディー・ジョーンズ独占インタビュー

リーダーの条件に「進化を促していく覚悟」を挙げるエディーHC【写真:矢口亨】
リーダーの条件に「進化を促していく覚悟」を挙げるエディーHC【写真:矢口亨】

リーダーは5月に決定の方針、理想は「2012年から13年の廣瀬のような存在」

 エディーがHC就任当初から名前を挙げてきたのはリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)という歴代代表主将らだが、彼らの存在価値は、2012年の第1次エディージャパン始動時の実体験が背景にある。

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「リーダーは5月に決めようと考えています。新しい時代ですが、若い人ばかりじゃなくシニア選手でもいい。とにかく前に進んでいく、進化を促していく覚悟のあるリーダーが必要です。それは例えば、2012年から13年の廣瀬のような存在です」

 廣瀬俊朗は大阪・北野高校―慶應大―東芝府中(現東芝ブレイブルーパス東京)と司令塔として活躍して、2012年にエディージャパンで初代主将を務めた選手だ。その後、リーチに主将を譲って臨んだ2015年W杯イングランド大会で出場機会がなかった数少ない選手の1人にはなかったが、卓越したリーダーシップ、ゲーム理解力と知識、人間性も含めて選手誰からも信頼されるなどチームに欠かせない存在だった。その廣瀬のようなリーダーが、始動したばかりの第2次エディージャパンでも必要だと考えている。インタビューでは、もし適材がいるとしたら2021年シーズンまで代表主将を務めたリーチではないかと質問してみた。

「もしかしたら当たっているかも知れないね。実は(東京サントリー)サンゴリアスで、サム・ケイン(ニュージーランド代表主将)とやり取りして、彼のリーダーシップは本当に一流だと再認識させられました。どうやって人と話すのか、その話し方も特別だし、彼が話すと皆が聞いてくれる。体でも示して、お手本のように見せてくれる。彼がオールブラックスで主将になるとき様々な意見があったが、直接会って話してみて、なぜ彼なのかはよく判った。そういう人材を日本代表でも見つけていきたいのです」

 2012年の第1次エディージャパンと現在の日本代表に共通しているのは、チームが目指す頂点=W杯へ向けて、どんな方向を向いて進むかを考え、歩み出すという状況だ。再任とはいえ新たなHCとしてチームに加わる時には、選手の中に不安や疑念が起きるのは間違いない。そこで、選手を納得させ、チームの進むべき方向性を、より短時間で共有して行動していくには、信望の厚いリーダーが求められる。それが、2012年の廣瀬のような存在であり、5月までにエディーが人選を進める新たなスキッパーだ。

 では、チームの外側、世界のラグビーの潮流をエディーはどう見ているのだろうか。昨秋のW杯がこれからの世界のトレンドにも影響する一方で、2月からはヨーロッパ最強を争う「6か国対抗」が開幕して、ポスト2023のラグビーが動き出している。

 南アフリカのW杯連覇で、世界に及ぼす影響は大きいだろう。強固なセット(スクラム、ラインアウト)を持ち、タッチキックも使ってゲームを寸断しながら進める重厚なスタイルが南ア流だ。開幕した6か国対抗のイングランドーウェールズは、キックの蹴り合い中心の凡庸な試合に終始した。その一方で、同じ6か国対抗で、アイルランドは横幅40mのスペースに3人しか立っていないフェーズを創り出してトライを奪ってきた。パワーだけに依存しない、スペースを創造してトライチャンスを目指す挑戦も見えてきている。

「アイルランドはいい例えになります。このチームは80%の選手が、常に一緒に練習出来ているアドバンテージがある。だからプレーに一貫性を持っているのです。それは、まさしく日本代表に必要なことです」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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