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「50年先の日本ラグビー界にとって重要」 各国協会と提携、専務理事が描く未来への周到な戦略

国際試合と国内リーグが密接にリンクする時代に突入

 ファン、関係者も注目、期待を膨らませる新国際大会だが、日本に目を転じると、これから取り組むべき課題もありそうだ。ワールドラグビーは、国際大会の発表と合わせて、各国協会が代表活動と国内リーグの日程を従来以上に連携させることで合意したことを強調している。つまり、各国協会は代表選手の福利厚生も踏まえた上で、代表の活動時間を確保し、国内リーグにも選手の過度な負担を回避することを求めていく。新大会の対戦相手が世界トップクラスの実力を持つチームばかりのため、当然、大会までの準備も重要になる。日本代表の大会参入が決まれば、リーグワンの日程や、保有する代表選手の起用法などチームの活動にも変化が求められる可能性は十分にある。

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「その通りだと思います。新大会では、2030年から入替戦が導入されます。上位リーグに残るためには現状以上の強化が必要で、我々には数シーズンしか準備期間がない。それまでの間にしっかりトップのディビジョンにいられる力をつけ、且つそこでいい結果を出すための準備と強化を考えていかないといけない。そのためには、やはりリーグワンでの競技力向上がまず重要ですし、代表チームの7月と11月の代表戦期間をどう使っていくのか、来年なら8、9月にPNC(パシフィックネーションズカップ)がありますが、そこをどう強化に生かしていくのか。それから27年、31年という短期的なW杯を見据えれば、リーグワンが世界一のリーグに成長するまでの、いろいろな意味での代表に限らない強化プログラムを用意するなど、必ず何かをしていかないと間に合わないと思っています」

 2023-24年シーズンのリーグワンは、通常の公式戦に加えてリーグ上位チームが海外強豪クラブと対戦するクロスボーダーマッチの開催が発表されている。近い将来にはチケット収入拡大のために試合数増加も視野に入れる中で、日本の新国際大会への参入で代表選手のプレー時間、拘束時間が増えれば、いずれどこかに“しわ寄せ”がくる可能性は否定できない。このような利益相反に成り兼ねない状況を、どう上手くバランスを保ちながら乗り越えていけるかは、専務理事ら協会首脳のこれからのハンドリングにかかっている。

「新しい国際大会参加が国内リーグに影響する可能性はもちろんあります。影響というとなんとなくネガティブなイメージですけれど、必ずしもそうじゃないと考えています。いい面は、今後の世界のカレンダーがはっきりしてきたことです。リーグワンも代表の強化を気にしてくれているので、これからリーグに対しても、それぞれのチームにも理解を得ていきたいです」

 以前なら代表の活動と国内リーグとは“別もの”のように見なされていたが、ワールドラグビーの発表も含めて、今や国際試合と国内のリーグが密接にリンクする時代になっている。岩渕専務理事も、国際舞台でワールドラグビーや強豪国協会首脳との会議や連携を、戦略的な視野を持ちながら展開する中で、国内のリーグワンおよび参画チームとのより密接な関係構築も大きな仕事になるはずだ。

「本当に、協会とリーグ、チームの皆さん、選手との連携というのが、日本のラグビーにとっての、おそらく一番大切なポイントになると思います。これが日本の武器ですし、日本が他のユニオンに対して持っている、おそらく一番大きなアドバンテージだと思います。これが崩れると、やはり日本のラグビーの強化も十分にはできなくなる」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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