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日本ラグビー、代理人業の実態 外国人選手では「乱立状態」、関係者が警鐘鳴らす理由

多岐にわたる仕事、生活面のサポートも重要

 では、そんなエージェント業の日常はどのようなものだろうか。業務で時間を割くのは、スーツ姿でクライアントとの交渉や、パソコン、契約書と睨みあうオフィスや会議室での交渉ではなく、選手の日々の活動、生活のサポートだという。

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「たぶん、そこが一番時間を割いているところですね。昨日もある外国人選手を怒ったんですけど、彼はプロじゃなく社員契約ですが、血縁関係のある選手や留学していた大学の指導者から面倒を見てやってくれと頼まれているんです。でも日本に来た時に90キロだった体重が、今は150キロなんです。本来はFB(フルバック)だったが、大学時代にPR(プロップ)に転向して、まだ体重が増えている。質の低い話しですけれど、直接会って、お菓子食べるな、炭水化物を取りすぎるなというところから、お説教です」

“手間”がかかるのは、トップレベルの選手も同じだ。細々とした日常のサポートが怠れないのだ。個人トレーニングの環境などを整えるのも仕事の一部だが、そこにはタトゥーが問題となることもある。

「オーガスティン・プル(日野レッドドルフィンズ、元ニュージーランド代表SH=スクラムハーフ)が、ちょっと怪我をしてしまっているので、チーム外のところでもトレーニングをしたいとなると、いろんな難しさがあるんです。例えばプールトレーニングのために近くの市営プールを使おうとすれば、南太平洋の人たちが伝統としているタトゥーが問題になる。入れないプールも多いんです。直接その施設に行って、担当者になんとかなりませんかという相談も僕の仕事です」

 ラグビー以外の生活面のサポートも重要になる。選手1人だけに止まらず、家族の支援も仕事の一環だ。

「例えば使っている車が故障したとか、お子さんの急な発熱でどうしたらいいかとかもね。今度新しく来る選手に対しても、日本語の勉強の進捗状況はどうだとか様々なことが日々起きています。でも、彼らも困っているんです。僕も海外で暮らした経験があるので、大変さは分かります。例えばスーパーマーケットに行って何か買うとか、ごみの分別とかも結構ストレスになるんです。特に選手は自分のプレーやゲームに集中する必要がある。だから微に入り細に入りやってあげないといけないんです」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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