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日本ラグビー、代理人業の実態 外国人選手では「乱立状態」、関係者が警鐘鳴らす理由

知識がないままエージェントと契約する選手も…

 まさに保護者であり、相談役であり、そして駆け込み寺のような印象も受ける仕事だが、契約する選手の多くは、いわゆるスター選手ではない。

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「海外の大手エージェントが直接だったり、日本法人を設けて、名だたる選手をたくさん抱えています。そこは僕が手を挙げても敵うわけもない。ただ、そこから忘れられた選手っていっぱいいるんですよ。ダイアモンドにはならないけれど、ブリキくらいには磨けば光るかなという選手がたくさんいる。彼らがグラウンドで一生懸命、120パーセントの力を出せるようにしてあげたい」

 そんなトップレベルではない選手の中には、簡単な気持ちと準備で日本でのプレーを希望する選手も少なくないという。契約の不備や、契約に関する知識があまりにもないままエージェントと契約して来日する選手が多いのだ。

「もちろん、本人の責任でもあるけれど、かわいそうなのは契約について誰からもアドバイスを受けていないので、きちんとした知識がないんです。今どういう契約をしているのか、今(年俸)いくらなのかと聞いても、たぶんこれくらいだと思うとか、契約書のコピーを見せてほしいと聞いても持っていないという選手が多いんです。そういうものはエージェントがしっかり管理していて、選手個々にちゃんと分かるようなメモにして渡せばいいと思いますが、そこをしていない会社もありますから」

 ラグビーがプロスポーツとして確立するヨーロッパや、南半球のラグビー強豪国では、エージェントビジネスも進んでいる。個人エージェントもいれば、企業化している大手もある。日本の大手広告代理店と提携するエージェント会社もある。そんなエージェントが、日本チームに日々選手を売り込んでくる。契約交渉に関しては手慣れた海外系のエージェントだが、その一方で、日本でプレーする個々の選手に対しては、小林が指摘するように契約交渉時以外は“野放し”というような状況も少なくないようだ。長らく選手の契約などを受け持つ、あるリーグワン参入チームのGM(ゼネラルマネジャー)は、こう指摘する。

「ウチのチームでの経験を話すと、外国人選手を担当しているエージェントさんは日本国内にはいないんです。なので、日頃の選手のサポートをするわけではなく、契約交渉の時だけ来て、こちらに要望だけ伝えてくる。それで5パーセント、10パーセントのエージェント費を持っていくというのが実情です」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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