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世界卓球で59歳のエースが魅惑の快進撃 2児の鉄人母ちゃんに日本人記者も心奪われた

韓国撃破の番狂わせ直後、夫でコーチのダニエルソン監督(左)と抱き合う倪【写真:Getty Images】
韓国撃破の番狂わせ直後、夫でコーチのダニエルソン監督(左)と抱き合う倪【写真:Getty Images】

中国からルクセンブルクへ、異なる国で代表になった意味

 倪は背筋を伸ばし、礼儀正しく両手を前に組んだまま、「責任」という言葉を繰り返す。

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「選手として、私には全てのポイントに全力を尽くし、勝ちに行く責任があります。今日、私は大きな勝つチャンスがあった。不運だったわ。これがスポーツの難しい側面です。全ての選手が勝ち方を学ばなければいけない。でも、負けを受け入れるのはもっと辛いんです」

 まだ額に汗を残しながら、当然のように言い切った。その姿は、生まれ故郷ではなくとも、代表として国を背負う意味を示していた。

 中国に生まれ、世界卓球は同国代表として1983年東京大会に初出場。女子団体、混合ダブルスで優勝し、女子ダブルスは銅メダルに輝いた。89年にドイツへ渡り、翌年からルクセンブルクへ。男子リーグでプレーした。以降はルクセンブルク代表として2000年シドニーで五輪初出場。58歳で5度目の出場となった昨年の東京五輪では、卓球選手として史上最年長出場だった。

 昨年11月の世界卓球個人戦は、女子ダブルスで銅メダル。世界ランクの過去最高は4位。リオ五輪ではルクセンブルクの旗手を務めるほど、認められた存在だという。コーチを務めるルクセンブルク人のトミー・ダニエルソン氏と結婚。一緒に各国を転戦し、今大会は監督としてベンチ入りしてもらっている。宿舎でも毎朝仲睦まじく食事をともにしていた。

 卓球王国・中国とルクセンブルク。面積は神奈川と変わらず、人口も60万人ほどしかいない卓球後進国でも、探せばいくらでも成長の機会があるという。

「もちろん、中国の卓球は素晴らしいものがあるけど、私は外の世界にもいいものはたくさんあると思っています。私はルクセンブルクで学んだことも合わせて戦っている。夫と世界中に行けて幸せ。夫もいろんな美しい景色を見られて嬉しいと言ってくれるの。感謝しないといけないですね。それぞれのいいものを世界に広めていくのが、私たち夫婦の務めなんです」

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