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フランスW杯4強へ、残り1年でやるべきこと 日本代表ジョセフHCが語る躍進のシナリオ

日本の課題は反則の多さとラインアウトの不安定さ

 では、開幕まで1年となったW杯で、日本代表はどこまで戦えるのだろうか。

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 先にも触れたように、最悪でもイングランド、アルゼンチンのいずれかに勝たなければ決勝トーナメント進出は難しい。現状の戦力を考えると、2020年5月の強化再開からの代表戦で中心選手として活躍してきたメンバーを軸に戦うことになるだろう。19年W杯でも活躍したPR(プロップ)稲垣啓太(埼玉)、今回は調整のために代表参加を回避しているHO(フッカー)堀江翔太(埼玉)、元主将のFLリーチ、ラブスカフニ、先にも挙げた姫野、松島に、20年以降に選ばれたFLベン・ガンター(埼玉)、SH(スクラムハーフ)齋藤直人(東京SG)、CTB(センター)ディラン・ライリー(埼玉)、WTB/CTBシオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)らがコアメンバーと考えていいだろう。ここに昨秋、今夏に招聘された新しい戦力がどこまで力を伸ばして食い込み、チームに“厚み”をもたらすことができるのかが期待される。

 戦術的にはジェイミージャパンが動き出した2016-17年シーズンから、積極的に導入するキックを多用したアンストラクチャー(システムが崩れた状態)ラグビーと、日本選手の強みでもある俊敏さ、スピードを重視してボールを保持しながら展開するポゼッション重視のスタイルを併用しているのが現状だ。

 アンストラクチャーなスタイルでは、昨秋のヨーロッパ遠征で、相手にしっかりとキック処理されて精彩を欠いた一方で、今年6、7月のテストマッチではボールを保持して、大きく動かすスタイルでフランスにも競り合う場面も見せた。双方のスタイルに磨きをかけながら、来年のW杯では相手のラグビースタイルに応じて、柔軟に戦術を組み替えて挑む可能性は十分にある。5日から始まった大分合宿では、初日から15対15の実戦形式のメニューを導入して、キックからのカウンター攻撃などに積極的に取り組んでいた。

 19年以降の代表戦で課題として横たわるのが、反則の多さとラインアウトの不安定さだろう。どの対戦相手も軽量で機動力に長けた日本相手には接点で重圧をかけてくる。そのプレッシャーに対して反則を犯すのは日本の宿命でもあるが、不用意な反則は改善の余地はありそうだ。ラインアウトに関してはスロワー、キャッチャー双方の課題があるが、世界のラグビーではラインアウトからの攻撃が大きな得点源になっていることを踏まえれば、残り1年での精度アップは勝利への重要なファクターになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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