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“北半球最強”フランスに惜敗 ラグビー日本代表、会心の2トライと後半に見えた差

会心のトライは「ジャパンが目指すアタック」

 注目したのは、前半に奪った2つのトライだ。結果的に、この2本が日本の全トライになったが、日本代表の強みを十分に示したアタックからのものだった。2019年W杯でも日本が何度も見せた、ボールをグラウンドの縦軸に停滞させず、常に横に動かし続けるアタックで奪ったトライだった。

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 開始12分のトライは、キックカウンターが起点になった。自陣でボールを持ったWTB(ウイング)ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が左に展開。ボールはFB(フルバック)山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)→WTBシオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)→CTB(センター)中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)→CTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と渡る。左タッチライン際のライリーが内側にステップを切ることで大外にスペースを作り、そこにファンデンヒーファーが駆け込み前に出ると、内側をサポートした山中がリターンパスを受けてインゴールへ飛び込んだ。

 キックキャッチからわずか14秒。カウンター攻撃のチャンスと判断したBK(バックス)全員が鋭く反応して、厚みのあるサポートを作り出しながら6つのパスを繋いで、相手防御を振り切った会心のトライ。フランス伝統のフレアー(閃き)というお株を奪うような、スピードと判断力に満ちた一撃を、一連のプレーで2度パスを受けてトライを決めた山中は、こう振り返った。

「相手のキックからのカウンター攻撃は、すごく準備してきた。外側にしっかりボールを運べて、チャンスを作れたので良かった。フランス相手にカウンターで、どんどんアタックしていくプランだったので、そこは積極的にいきました」

 もう1本のトライは、前半40分に生まれた。ミッドフィールドでの相手のファンブルボールをラックにした日本は、再び左展開。SH(スクラムハーフ)齋藤直人(東京SG)→SO(スタンドオフ)李承信(神戸)→FB山中と渡ったボールを、主将のHO(フッカー)坂手淳史(埼玉WK)がCTB中野に繋ぎ、再びリターンパスを受けると、FL(フランカー)リーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)→FB山中と、今度は7回のパスを繋いで仕留めた。BK級のスピードでトライをアシストしたリーチは「理想的ですね。蹴り合いを繰り返し、切り返して、チャンスの時はすぐ攻撃にスイッチするようなアタックだった。フランス相手だけじゃなくて、ジャパンが目指すアタックです」と頷いた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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