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井上尚弥のドラマを超えたドラマ 怪物にしか描けない「12R死闘→264秒殺」の筋書き

ドネア戦後の会見で試合を振り返る井上【写真:荒川祐史】
ドネア戦後の会見で試合を振り返る井上【写真:荒川祐史】

「ドラマにしない」と自分にプレッシャーをかけた井上「向上心をつくりたい」

 周囲が少しネガティブな印象を抱えていた一方、主役は自分にプレッシャーを掛け続けた。「ドラマ・イン・サイタマ」と称賛された第1戦。「今回はドラマにしない」「何もさせずに勝つ」「皆さんの期待を超える試合をする」。物語の結末はモンスターのシナリオ通り。自分自身を追い詰めながら気持ちを作ってきた。

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「トレーニング、試合に向けて向上心をつくりたい。こういう発言をしたからにはやらなきゃいけないので。それでも不安な面があるし、それに打ち勝っていくからこそ今日の試合の結果がある」

 2試合で計14ラウンド、40分24秒を戦った。ドネアへの尊敬の念は尽きない。

「WBSSの決勝で戦えて、この3団体統一を懸けて戦えて、ドネアだからこそここまでできた。学生時代から憧れているチャンピオンだったので、こういう試合を生んだ。自分にとってはこの先の4団体、もしくは階級を上げる中でドネアと戦えて誇りに思います」

 いよいよ4団体統一にリーチ。ターゲットはWBO王者ポール・バトラー(英国)だ。国内外を問わず、年内開催に向けて即交渉に入る予定だが、難航すれば1階級上のスーパーバンタム級のベルトを狙う。

「バンタム級は適正階級ではありますけど、さらに上に挑戦したい気持ちもある。4団体統一戦が叶わないのなら、新たなステージで挑戦していきたい」

「ドラマにしない」と宣言し、本当に期待以上の試合を熱演。ドラマを超えたドラマにファンは酔いしれた。こんな筋書きはモンスターにしか描けない。4団体統一は世界でも8人しか達成しておらず、軽量級では初の偉業。日本ボクシング界の「最高傑作」はどこまで高みに昇るのか。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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