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王者・羽生結弦が誕生した日 19歳で「怖さを知った」五輪、金メダルを呼んだ心の強さ

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

2014年に行われたソチ五輪で金メダルを獲得した羽生結弦【写真:Getty Images】
2014年に行われたソチ五輪で金メダルを獲得した羽生結弦【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#22 「フィギュアスケート五輪激闘譜」2014年ソチ五輪・男子シングル編

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

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 今回は過去3大会の激闘を振り返る「フィギュアスケート五輪激闘譜」、2014年ソチ五輪の男子シングル編だ。パトリック・チャンとの優勝争いに注目が集まったなか、当時19歳の羽生結弦はショートプログラムで史上初の100点超えを達成。フリーでは納得のいかない演技に終わるも逃げ切り、アジア人選手として初の金メダルを獲得した。さまざまな想いを背負いながら、五輪の重圧に打ち勝った羽生の姿は、日本男子フィギュア新時代の幕開けを予感させた。(文=松原 孝臣)

 ◇ ◇ ◇

 それは新たな歴史を刻んだ瞬間だった。

 2014年2月。表彰式の真ん中に立っていたのは、羽生結弦。フィギュアスケート男子シングルでは日本はもとより、アジアでも史上初の金メダルを首から提げている。その表情には、柔らかな笑みが浮かんでいた。

 大会を前に、焦点となっていたのは羽生とパトリック・チャンの優勝争いだった。

 チャンは2010-11シーズンから五輪プレシーズンまで世界選手権3連覇をはじめ、世界のトップを走るスケーターとして君臨していた。

 ソチ五輪シーズンも開幕から好調だった。スケートカナダで優勝し、フランス大会ではショートプログラム、フリーともに歴代最高得点(当時)をマークする。

 そこに「待った」をかけたのが、羽生だった。

 カナダ、パリの両大会ではチャンに次ぐ2位。だがグランプリファイナルでは羽生がリベンジを果たす。ショートプログラムで歴代最高得点を更新して1位。2位のチャンに大差をつけると、フリーでは冒頭の4回転サルコウこそ転倒したが、そのままでは終わらない。続く4回転トウループを決めてリズムを取り戻す。演技を終えた後、立ち上がれない姿は、力を尽くしたことを物語っていた。フリーでも1位となり、総合得点は293.25点、300点台も視野に入る高得点で、堂々、初優勝を飾った。

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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