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ラグビー日本代表候補発表 リーチ、松島だけじゃない…2023年W杯へ期待の新戦力は

攻撃のキーマンとして期待されるパナソニックワイルドナイツのディラン・ライリー【写真:Getty Images】
攻撃のキーマンとして期待されるパナソニックワイルドナイツのディラン・ライリー【写真:Getty Images】

注目は日本代表資格の可能性持った外国人選手たち

 日本協会でも、代表でプレーできる外国人選手を増やすために、様々な環境を整えてきた。従来2人だった国内リーグの外国人出場制限を3人に増やし、さらに日本代表資格を取得できる可能性を持った外国人選手の特別出場枠を増やすなどの取り組みが、19年W杯の躍進を後押ししている。

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 今回選出された候補52人の中で、今年の代表活動中に36か月居住をクリアする選手にはPRクレイグ・ミラー、CTBディラン・ライリー(ともにパナソニックワイルドナイツ)、マーク・アボット(宗像サニックスブルース)らがいる。代表候補52人以外にも来日3年を満たす有望外国人選手は多いのだが、“継続的な居住”という条件で代表入りを逃している。WRの規約では、当該国に継続して62日以上不在だった場合は継続居住と認められない。そのため、昨年からのコロナ禍の中で、家族の住む母国へ戻ったり、感染対策のために予定していた期日に再来日できなかった選手の中に、継続居住を満たさない選手がいたからだ。

 その36か月ルールの適用で選ばれたメンバーは、新生日本代表にインパクトをもたらす好素材が揃っている。

 攻撃のキーマンと期待されるのがCTBディラン・ライリーだ。身長187センチというサイズを感じさせない機敏さで、相手防御のギャップを突くアタックが光る。タックルを受けても簡単に止められないバランスのいいランは、国際舞台でも十分に威力を発揮するはずだ。居住期間の問題でテストマッチ出場資格が得られるのは10月になる見込みだが、24歳という若さで迎えるであろう秋の代表デビューに注目したい。

 同じパナソニックのPRミラーは、サンウルブズでの活躍で実力は証明済。スクラムの強さ、フィールドプレーでの機動力と、こちらもバランスの取れた計算できるフロントローとして期待される。来日5年目を迎えた23歳のFLベン・ガンターも、ブレイクダウン、タックルで日本選手にはないパワーが魅力だ。

 トンガから流通経済大に留学して日本国籍も持つNO8ナエアタ・ルイ(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)は、身長193センチ、体重118キロと日本では大型選手だが、サイズ以上のパワーとBK並みのステップ、スピードも大きな武器。日本代表で求められるディフェンス力と運動量をクリアできれば、W杯への道が開けるはずだ。

 日本生まれの選手にとっては年々“狭き門”となる代表入りだが、好素材の若手にも注目したい。代表キャップを持たない日本出身選手は10人。その多くはまだ育成段階の選手だが、SH齋藤直人(サントリーサンゴリアス)はテストマッチでプレーできるレベルに近づいている。TLでは途中出場が多く、出場時間も限定的だったが、藤井NTDは「サンウルブズでも出ているし、どういう選手かというのはよくわかっている」と、昨年のスーパーラグビー(SR)でのプレーも評価している。

 学生時代からパスワーク、プレースキッカーも務めるキック力を評価されてきたが、サンウルブズでは南半球のトッププレーヤー相手にもしぶといタックルを披露。相手防御のスペースを見極めたキック、サイドアタックなど、視野の広さも証明している。長らく代表SHで活躍する田中史朗(キヤノンイーグルス)、流大(サントリー)が、調整のために候補から外れていることも、齋藤が経験を積み上げるためには大きなチャンスと考えていいだろう。

 すでに代表キャップ13を持つFB野口竜司(パナソニック)も、TLでのプレーが際立っていた。松島幸太朗のようなスピードも海外勢のようなサイズもないが、細かいステップで相手のタックルをズラして、ボール保持時間を伸ばすスキル、ラインブレークを許さないしぶとい防御に視野の広さを生かしたキックと、安定感抜群のオールラウンダーぶりを発揮している。前回は目前で逃したW杯出場へ、スピードスターが揃う代表のアウトサイドBKの中で、どこまで堅実なプレーでアピールできるかに注目だ。

 関心は代表合宿に参加する35人が誰なのかに傾いていくはずだ。36か月の居住規約をクリアする選手を代表戦で起用したいこと、藤井NTDの「基本的には前回W杯に出た選手を中心に選んでいる」という発言を踏まえると、その顔触れも浮かび上がってくるだろう。候補選手の中で前回W杯メンバーは21人、“36か月”規約に当てはまる選手は11人と、これだけで合計32人になる。HOやSHという他のポジションとの兼務が難しいスペシャルポジションに3人を選ぶと、35人では収まらない人数になる。次回W杯へ向けた選考レースは、スタート前から厳しいサバイバルの様相だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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