[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

世界的司令塔バレットは前評判通りに輝けるのか 早くも示したトップリーグへの順応

日本でのプレーを選んだ理由とは?

 会見では、日本でのプレーを選んだ理由も語っている。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

「16から18か月ほど前に、ニュージーランド協会と契約の見直しをしているときに(次回W杯までの)4年間の中でサバティカルを許してもらい、海外でプレーするチャンスを得た。それで、日本を選びました。東京の印象はとてもよかったし、W杯でも来ていたので、日本でプレーしたい、新しい挑戦をしたいという気持ちになりました。フランスでプレーするチャンスもありましたが、東京と日本を愛していましたから」

 日本愛とともにサバティカルが大きな理由だとも明かした。このサバティカルとは、長期休養の意味。ニュージーランドなどの強豪国では、ベテランクラスの選手が次回W杯へ向けたコンディショニングのために1シーズン国内のプレーを免除される特別措置のことだ。土田GMはバレットとの契約について「金額でいうとたぶんフランスのほうが高かったと思うが、W杯を含めて日本での生活、経験が大きかったということと、TLでもラグビーの質が落ちないということが大きかったと思う」と語ったが、試合数や1試合での肉体的な負担などを含めて判断すれば、日本でのプレーにメリットがあったことは間違いない。

 来季以降について聞かれたバレットは「シーズン後のことは具体的なプランがないのだが、目の前の目標であるTL優勝と、あとは23年W杯に出場するのが目標。1シーズンしかプレーできないかも知れないが、将来的にはまた戻って日本でプレーしたい」と語っている。刺身、寿司、豚骨ラーメンをお気に入りに挙げたが、2023年W杯を見据えて1シーズンで母国に戻るのは確定事項と考えていいだろう。

 最近の2シーズンはオールブラックスではFBでの出場が多かったが、会見では「楽しいのは10番」とSOが自分のベストポジションと明言。サントリーでも、練習試合の起用法を見れば、アタッキングラグビーを加速させる指令塔として期待しているのは間違いない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が不安視される中で迎える開幕戦。バレットにとっては、いきなり前オールブラックス主将キアラン・リードとの対決になるが、本人は「神戸(製鋼コベルコスティオーラーズ)のブロディ・レタリックとベン・スミス、同じハリケーンズだったTJペレナラ(NTTドコモレッドハリケーンズ)の3人が戦いたいトップスリー」とオールブラックスの盟友たちとの対決を心待ちにする。対戦チームでも「神戸製鋼、パナソニックとの試合が楽しみ」と、すでに日本国内の勢力図は頭にインプット済だ。

 世界のビッグネームが大挙参戦する今季TLでも最注目のバレットのプレーを見られるのは、おそらくは今季1シーズン限り。それでも母国ニュージーランド以外で、世界最強の10番の華麗なプレーを毎週スタンドで観戦できるのは、日本だけの特権だ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

1 2 3

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集