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“怪童”父に持つワセダの逸材は必見 将来の日本代表入りが期待される逸材たち【BK編】

東海大のルーキー武藤はサイズには恵まれないが好素材

 リーグ戦では、3連覇に挑む東海大で、注目のポジション争いが起きている。昨季まで指令塔を務めてきた前主将のSO眞野泰地(東芝)が抜けた穴を、2番手として実績を持つ丸山凜太朗(東福岡=3年)が開幕から3戦連続で10番を背負い埋めている。だが、丸山の怪我で専大との4戦目で初先発した武藤ゆらぎ(東海大大阪仰星=1年)が、鮮やかな個人技で存在感をアピール。15日の大東大戦でも先発を託され全勝キープに貢献した。

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 個人的には、ここまで実戦を見た中で大学最高のSOと評価したい武藤は、パスでチャンスを作り出す能力もさることながら、相手防御の裏に出られるランプレーが最大の持ち味。専大戦では、前半15分に加速しながらパスを受けると、鋭角的なステップを駆使して防御4人を抜き去りトライをアシスト。後半9分にも、猛烈なプレッシャーをかけてきた相手をかわして、再び4人を置き去りにするランからラストパスを放っている。

 2戦連続の先発起用となった15日の大東大戦では、パスで魅せた。前半11分に敵陣ゴール前で、右サイドに移動しながらボールを受けると、防御を十分に引き寄せながらレシーバーが理想とするタイミングでパスを放ちトライを生み出した。パス感覚、相手との間合いを、ここまで掴んでいる10番は多くはない。

 170センチ、75キロとサイズには恵まれない武藤が国際舞台で活躍できるかは未知数だが、W杯日本大会で不動のSOとして活躍した田村優(キヤノン)も、タックルに長けた選手ではない中で、自身のフィジカルの強さで防御にも取り組んでいた。サイズ面でのハンディキャップを、大学、社会人、国際試合と、武藤がどう克服するかに期待したい。

 一方の丸山も、大学トップクラスの能力を持っている。眞野の控えも多かった昨季までもキック、パスと安定感を見せ、防御面での信頼も厚い。今春には準日本代表「ジュニアジャパン」の指令塔として臨んだ国際大会パシフィックチャレンジでも、キックを織り交ぜながらラインを動かしチームを優勝に導いている。

 途中出場した大東大戦で見せた敵陣ゴール前のキックパスなど、視野の広さも申し分ない。安定感とダイナミックなアタックを演出する能力では大学トップの実力を持つだけに、リーグ戦終盤そして大学選手権でのチーム内の10番抗争、そしてこの2人の指令塔の併用という可能性にも注目だ。

 東海大戦で今季3敗目を喫した大東大だが、ポテンシャルを秘めた選手は少なくない。留学生選手を軸に強化を図るチームの中で、けがの影響で今季3戦目の先発出場だったFB鈴木匠(札幌山の手=4年)は、外国人選手にも負けないダイナミックなランが光る。183センチ、91キロのサイズを生かして、大東大伝統の奔放なアタックにフィジカルの強さも持ち合わせ、攻守に高いポテンシャルを発揮している。

 怪我の影響で開幕戦以来ベンチ外が続く南昂伸主将(御所実=4年)は、パスワークに加えて個人技、キックと高いポテンシャルを持つマルチSHだ。同じSHで“パス限定”で大学トップクラスと評価したいのは東海林拓実(山形中央=3年)。南主将欠場後も控えSHが続き、プレー時間は限定されているが、放ったパスは大学屈指の質の高さ。判断力、パスワーク、防御などの精度アップ次第では、大きく成長する可能性を秘めた原石として注目したい。

 11月14日に流通経大に今季初黒星を喫した日大では、異色の二刀流選手がお薦めだ。WTBで開幕から先発出場を続ける水間夢翔(佐賀工=2年)だが、チームのホームページではHO。佐賀工高時代も1年でFL、2年はWTB、主将の3年はNO8と、変幻自在の活躍を見せてきた。日大でもこの夏からWTBに転向して開幕メンバーの座を掴んだが、170センチ、97キロの小型冷蔵庫のような体でパワフルな突破を見せる一方で、チャンスと判断するとドライビングモールに参加するなど、1試合の中でもFW、BKの間を渡り歩く。流通経大戦はノートライに終わったが、開幕4試合で6トライと結果も残している異色の存在だ。

 大学ラグビーはこれから各リーグのクライマックス、そして大学選手権へと過熱していく。観戦可能な試合でも会場では感染対策で制約が続くが、ぜひスタンドで試合中にBK、FWとポジションチェンジする水間の動きを、そして可能性を発散させる若きタレントの姿を目撃してほしい。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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