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新時代の“部活の在り方”とは? 異色の高校ラグビー監督、楽しさとは異なる価値の追求

これからの時代に求められる、身の丈に合った部活

 そんな思いのなかで、指導者が果たすべき重要なことを、こう語っている。

「子供たちが追求する基準を、ちゃんと指導者が明確にしないといけないでしょうね。どこのチームも花園を目指したらダメだし、やはりミスマッチのない同等の力のチームたちのリーグ戦も必要です。もともとリーグ戦という考え方は好きではなかったのですが、ちゃんと対戦する2チームがコンテストして、勝った負けたを真剣に争ういい大会設定のなかで、いい目標設定、自分たちの身の丈と意識に応じた構造があっていい。そのなかで真剣に打ち込めば、スポーツクラブでは手に入らない、スマホゲームでは絶対に手に入らない一生の財産を得ることができる。ここをはっきり見つめてやらないといけないなと思いますね」

“身の丈に合った部活”が、平塚工ではクラブとの並走で1人でも多くの子供たちにラグビーを続けさせることであり、静岡聖光では花園出場が大きな目標となる。

 新天地での1シーズン目は、あと1勝及ばずに終わったが、新人戦など2シーズン目が動き始めている。そのなかで、ゴロー先生は新たなチームの可能性を感じている。

「新キャプテンの藤田武蔵は、自分でいろいろ考えることができる選手です。私が去年の4月1日に聖光の教員になった夜にオンラインで面談した時にも、まだ主将でもない彼が、慣習に囚われ過ぎて、誰も考えることを放棄しているようなチームにはしたくないと話してくれた。2年生は、そんなリーダーと同じような考え方をしている学年です。1年生は能力が高い部員が多いのと同時に、とにかくラグビーが好きで楽しみたいという子ばかりです。新シーズンは人数は少ないですけれど、そんな部分で新しい聖光になる可能性がありますね」

 そんな選手たちで構成される新チームは、新人戦ではノーキックでボールを動かすスタイルを導入した。ライバルであり打倒を目指す東海大静岡翔洋の途中辞退ということもあり、静岡ナンバーワンの座を奪回しているが、勝負はこれからだろう。

 ゴロー先生も「どういうラグビーをしていくかは、これから私も一緒に考えていきます。でも、これまでのやり方に囚われないスタイルにはこだわっていくでしょう」と語る2年目のシーズン。“新しい聖光”は、そのラグビースタイル以外にもユニークなチャレンジに着手している。

【前編】週6時間練習だけでは「絶対勝てない」 異色のラグビー監督、時短部活で花園挑戦の1年

【後編】「指導者が口を挟まない」リーグ戦を計画 部員減る高校ラグビー、強豪監督が描く未来

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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