船で4時間、長崎・五島列島から全国決勝へ 「離島だから」を認めず…数えた“足りないもの”より“今あるもの”――五島・戸川良汰

試合のたびに船で4時間 認めたくなかった「離島だから」
中3の秋に負った右太もも裏の肉離れが長引いた。高1の夏は県大会出場も断念。1年近く満足に走ることさえできなかった。
正直に言えば「結構、腐っていた」。しかし、監督をはじめ周囲が励ましてくれたり、愛を持って叱ってくれたり。母も整骨院までよく送り迎えしてくれた。なんとか心を保った。「本当に支えてもらって感謝しかないです」
怪我を乗り越えても、島ならではの不便はあった。
県本土で試合があるたび、五島灘を越え、船で揺られること4時間。「移動はやっぱり大変で……」。ただ、そこで思考を止めなかった。「負けてたまるか。『離島だから』というハンデを認めたくなかった」
帰りの船はレース映像を見返し、ゆっくり振り返る時間にした。
練習場所も工夫した。島の山を走る。海の砂浜を走る。人数が少ない分、トラックは広く使える。ハンデをハンデと考えずに実力を伸ばした。
5月の県大会で優勝、6月の北九州大会で3位。ついに初のインターハイ切符を掴み取った。
「やってやるぞと思って、こっちに来ました」
その反骨心と執念が、島の訛りが抜けない純朴なハードラーにご褒美を授けた。
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